トヨタのEVバッテリー事業計画に政府が約1180億円の助成金交付を決定
他にも多額の助成金が自動車産業に投入される可能性大
トヨタはカーボンニュートラルに向けた手段をひとつに絞るのではなく、ストロングハイブリッド車からプラグインハイブリッド車、燃料電池車、水素エンジン車、EVなどさまざまな方面からアプローチする「マルチパスウェイ」の戦略をとっている。こうした電動車・次世代エネルギー車の多くには大容量バッテリーが搭載されるが今回の焦点はEVだ。 走行可能距離を伸ばすために大容量のバッテリーを搭載するEVは、蓄電池としても使える。また近年ではEVに充電した電力を電力系統に戻すV2G(Vehicle to Grid)の研究も進んでいる。すでに実証実験も行われて、再生可能エネルギー由来の電力安定供給に向けた下地づくりが行われている段階だ。 一方トヨタ自動車のEVといえば、レクサスブランドが2035年までにEVブランドに移行する方針だ。現在RZ450eやRZ300e、UX300eといったモデルのラインナップに限られているが、2026年には4ドアセダンLF-ZCの市販車が登場、その後も次世代スポーツカー「エレクトリファイド・スポーツ」やフラッグシップモデル「LF-ZL」など、コンセプトカーの市販バージョンの登場も期待されている。 なかでも、2026年に導入されるであろうEV「LF-ZCの市販モデル」では、エネルギー密度を高められた角形電池「次世代電池(パフォーマンス版)」の性能向上や軽量化、空力性能の向上により航続距離1000kmの実現を目指している。 この「次世代電池(パフォーマンス版)の生産」に加えて「全固体電池の開発・生産」の計画も盛り込まれた「蓄電池に係る供給確保計画」が、経済産業省に提出されて認定を受けた。 計画の概要によると、生産基盤の整備、生産技術の導入・開発・改良を行うもので、約3300億円の必要資金のうち最大約1178億円が助成されるという。2026年10月以降に供給を開始して年間25GWhの生産が予定されている。 2024年9月9日現在、経済産業大臣の認定を受けた計画は27件あるが、その中でも最大助成額1000億円を超える事業は3件で、ホンダやスバル、GSユアサやパナソニックなどが関連したいずれも自動車産業だ。経済産業省による「蓄電池産業戦略」でもモビリティ向けバッテリーの重要性を解く文言が並んでおり、政府からの期待も大きいことが見て取れる。 倍々ゲームのように拡大していく蓄電池市場の中で、政府からの支援を得て日本の蓄電池産業が世界に存在感を示すことができるのだろうか。