側近まで要職に送り込む…限度超える「共同大統領」マスク氏(2)
通常、次期大統領が人選決定を発表するまでは特定候補群に対する評価や立場表明は控えるものだが、マスク氏の公開的な支持あるいは拒否は次期大統領に対する過度な圧迫と解釈されることもあると同紙は指摘した。 ②政策利害衝突懸念…「セルフ優遇」議論 政府効率化省のトップを引き受けることになったマスク氏は直接政策責任者となり政府大改造手術の執刀に出る態勢でもある。すでに指名直後に「連邦機関が428個も必要なのか。99で十分だ」として4分の1に減らす大手術を予告した。 問題は利害衝突のリスクだ。マスク氏が所有する会社は各種法規リスクを抱えているが、関連省庁の決定が事業の成否を決めることになりかねない。たとえばテスラの完全自動運転規制問題は高速道路安全局、スペースXの月探査ロケット問題はNASA、ロケット開発と打ち上げ免許は国防総省、衛星ネットワーク市場開放問題はFCCの決定に事業の成否がかかっている。マスク氏が政府規制革新を名分に自身が推進する事業の規制を解いたり政府許認可を簡単に受けられるようにするなど「セルフ優遇」を得られる点が議論だ。進歩性向消費者団体パブリックシチズンのリサ・ギルバート共同代表は「マスク氏は政府効率と規制に対してわかっていない、マスク氏が皇帝の地位で攻撃することになる規則はこれまで事業をしながら何度も違反してきた」と批判した。 また、マスク氏が率いる政府効率化省の英文略称「DOGE」(Department Of Government Efficiency)が、マスク氏が投資し推している暗号資産のドージコインと名称が同じ点もうわさを呼んだ。トランプ氏が政府効率化省創設計画を明らかにした後にドージコイン価格が急騰した。 「政府の浪費を根絶し最小2兆ドル節約できる」というマスク氏の発言は実現の可能性が劣るという批判を受けている。政府支出のうち負債利子が約8800億ドル、社会保障性年金が約1兆4600億ドルなど固定費性格の支出項目を考慮すれば連邦政府の年間支出6兆7500億ドルの約30%に当たる2兆ドルの削減は非現実的と指摘される。むしろ財政支出削減を無理に推進し強い抵抗に直面するだろうという観測が出ている。 ③外交介入議論…首脳の通話に同席 マスク氏はトランプ氏の大統領選挙当選後、外国首脳との通話に同席し国際舞台で外交的影響力も誇示している。ウクライナのゼレンスキー大統領、トルコのエルドアン大統領と通話する際にトランプ氏の隣でスピーカーを通じ一緒につながっていたという。国家安全保障など敏感な領域を扱う首脳の対話に民間企業家が参加するのは異例なことだ。 レッドラインを行き来するようなマスク氏の歩みにトランプ氏周辺の懸念は大きくなっている。マスク氏がトランプ氏の公約履行より自身の構想を実現するのに大きな野心を抱いているという疑問まで提起される。ワシントン・ポストは「マスク氏が次期政権構成に露骨に介入し影響力が過度に大きくなりトランプ氏参謀らの神経を逆なでしている」と伝えた。