中国政府に逆らうと「無理やり注射され、ゾンビのようにされた」 仕事奪われ強制入院、命からがら「自由の国」日本へ…でも待っていたのは「入管の壁」
「映像で、価値観が全て変わりました。以前は共産党に対し、少し忌避感があった程度でしたが、学生を銃殺するような残忍なことは受け入れられないと感じました。中国政府は六四(天安門事件)自体をなかったことにしているので、事件があったことさえ知らなかったのです」 音声だけでも近隣住民に聞かせたいと、スピーカーを外に向けて爆音で音声を流した。次第に近所の人々が集まって騒ぎ始める。周さんが姿を現すと問い詰められた。 「お前はなんでそんなに共産党に不満があるんだ?」「どうして共産党を罵るのか」 周さんが「どうして罵ることができないんだ?俺はひとりの市民なんだから、一市民として罵る権利がある」と言い返し、口論に。住民たちは「たぶん面倒なことが起きるぞ」と言い残し、去って行った。 ▽強制入院「拒否すれば家族全員を処分」 約1週間後、5月25日の昼ごろだった。ノックに応じてドアを開けると、警察官が3人立っていた。精神病院に連れて行かれた。
病棟では、周さんの家族が医師と入院の手続きをしており、「2カ月入院すれば退院できる」と言われた。従わざるを得ず、そのまま白い壁で覆われた3メートル四方の個室に連れて行かれた。ベッドが一つあるだけの、がらんとした部屋だった。 翌日、見舞いに来た祖父らが周さんに伝えた。「警察から連絡を受けた。強制入院を拒否したら家族全員を処分すると言われた」 精神障害者として扱えば、共産党への批判は真剣に受け止められなくなるし、同時に心身の自由も奪うことができる。周さんは当局の意図をそう推測した。 ▽注射され、ゾンビのように無気力に 医師の診察もないまま、「統合失調症」という扱いに。治療薬を飲まそうとする男性看護師は、拒む周さんをベッドに手足を固定して縛り付け、口の中に無理やり薬を押し込んだ。注射もした。反抗すると、顔面を殴られた。 連日、薬を投与され続けた。元気がなくなり、鬱状態になった。