あなたは「サステナビリティ」において一番大切なことをご存知ですか?
世界のラグジュアリー人脈に通じ、社交界の裏事情にも詳しい謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の男性諸氏が陥っている、ファッションと恋愛の無自覚・無意識の怠慢に覚醒を促し、読者を洗練へと導く連載です。今回のテーマは……。 カトリーヌ10世の「男たちよ目覚めなさい」
■ サステナビリティの秘訣に「目覚めなさい」
ある業界で重鎮として慕われている方の傘寿祝賀会がありました。80歳でも第一線の現役で、仕事のオファーが途切れない。フレッシュな感性も問われる分野において、20代、30代も続々と敬意を表して弟子入りする。驚きです。 祝賀会で壇上スピーチした数名の来賓の方々にも、この日の主役と共通するところがあることに気づきました。50代後半~70代の壇上の来賓たちは、支持厚く息長く、好きな仕事を楽しそうに続けることができています。浮き沈みの激しい世界でのサバイバー。 共通の理由を考えるに、彼らは絶対に誰かを批判したりしない。少なくとも他人の噂話に興じない。「敵」ないし「ライバル」はディスらず、むしろ時には味方にして和を保っています。それが結局、自分を利することになると理解しているからでしょう。サステナブルな仕事の秘訣は、つまるところ、人を尊重することによる安定した人間関係の構築。その成功例を見る思いがします。
地球レベルでのサステナビリティにも同じことが言えますね。地球環境のために人間ができる最大の貢献は、戦争をしないこと、そのために各国の人を尊重して敵をつくらないことであるのは明白ですから。 おっと、話が大きくなってしまいましたが、サステナビリティって、個人レベルでも地球レベルでも難しいことでもなんでもなくて、好悪を超えて周囲のひとを大切にして良き調和を保つことに尽きるのではないでしょうか。働き盛りの時には競合より上に行って「勝つ」ことばかり考えがちですが、もっと長い目で見ると、敵すらも味方にしてしまうような度量の大きさが圧倒的に強さを発揮します。論破力やプレゼン力よりも狸おやじスキルを磨くほうが、はるかに生存可能性を高めることに「目覚めなさい」。
● カトリーヌ10世
グローバル化が進む社交界事情にも通じる。密かな趣味は人間観察とコスプレ。好きな飲み物はモンラッシェ。日本ではほとんど知られていない、ある小国の女王とのウワサも!? 2024年10月号より
文/カトリーヌ10世 イラスト/ユリコフ・カワヒロ