「声を上げた女性たちが置き去りに」松本人志“復帰待望論”のなかで見過ごされてしまった「重要な論点」とは
「自らの言葉で改めて生のメッセージを発信する場が必要」
続いてスポニチの【記者の目】。『松本人志“訴訟終結” 自らの言葉で説明するのが芸人の務めではないか』。内容を要約するとこうだ。 〈・「事実無根なので闘いまーす」。活動休止が発表された今年1月8日、松本はSNSにこう書き込んだ。だが、最後まで戦うのではなく、訴訟の取り下げというあっけない形で終結。法廷で真実が明らかにされることはなかった。 ・性的行為の強要については一貫して「やってない」と否定しており、事実無根を証明したいならば、初志貫徹で最後まで戦うべきだったのではないか。〉 さらに、「自らの言葉で改めて生のメッセージを発信する場が必要だろう」というスポニチの提唱もあった。
「会見をしないのか」という声が続出
会見などをしないのかという声は他にも多かった。これらを意識したのが松本氏によるクリスマス配信のインタビューだったのだろうか。続いてサンケイスポーツ。 『【記者の目】非常に難しい松本人志復帰のタイミング 「応援して下さい」活動再開意欲は明らかもコンプライアンス重視強めるスポンサー』。要約は以下の通りだ。 〈・松本側は「強制性の有無を直接に示す物的証拠はない」との一点を着地点とし、女性側に謝罪。裁判に自ら幕を引いた。 ・活動再開意欲は明らか。だが、テレビ局にCMを出すスポンサーは年々コンプライアンス重視を強めている。ましてや性トラブルとなれば、簡単ではないだろう。〉 デイリースポーツは『松本人志 文春訴訟終結に芸能界復帰への思いとその覚悟 記者の視点』とし、以下のようにまとめている。 〈・松本にも言い分はあるにせよ、被害を訴えた女性が「不快な思い」をしたことは確かで、そこに向き合う必要があることは言うまでもない。〉
スポーツ新聞は、ただの広報にはなっていないか?
さて、今回私がスポーツ紙を読み比べたのは、記者は芸能界に詳しいという信頼からだけではない。SMAP解散時の報道が鮮明だが、芸能担当記者は事務所とパイプが太いからこそ「ちゃんと論評できるのか? ただの広報になっていないか?」というチェック視点も大事だと思ったからだ。 その点でいうと印象的だったのがスポーツ報知の1面見出しだ(11月9日)。 『文春と電撃終戦 松本人志』とあって、その横に、「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました」という松本氏側のコメントを大きく載せていた。そして端のほうに、「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」という女性たちへのコメントを小さめに載せていた。順番と大きさが逆ではないだろうか。 報知は裁判終結を“痛み分け”とも書いていた。松本氏の復帰に関しても11月の時点で次のように書いていた。 《関係者によると、松本はテレビ復帰だけに固執していないという。配信番組の企画プロデュースや劇場での漫才で、復帰の一歩を踏み出すのも選択肢になる。》(2024年11月9日)