【NBA Rakuten解説者インタビュー】宮田知己さん「塁さんはNBAの顔を目指せる1人」
ゴンザガ大学の選手はプロのような扱い
――2人の在学が重なっている時期はありましたか? 宮田:塁さんはNBAにアーリーエントリーしているので1年早く大学を出ていますが、僕が留学した当初はまだ授業を受けていた時でした。ただ、バスケ部の活動はもうしていなくて、NBAのドラフト待ちという状況でした。 ――現地で交流はありましたか? 宮田:ゴンザガ大学のバスケ部の選手たちって簡単に会えるような感じではないんです。キャンパス内で写真撮られたりサインをねだられたりっていう感じで、もうプロ選手のような扱い。塁さんはそんな中でもNBA入りがほぼ決まっているような状況だったので、余計に注目を浴びていました。 そんななか、僕が大学内の語学クラスに通っていた時、必ず自分の将来の夢を話すようにしていて。それで先生も僕がバスケのために来ているということを分かってくれていて、「ここで塁が授業を受けているから一緒に行くぞ」って。塁さんが教室を出た時に引き合わせてくれました。その頃の自分は何の仕事もしていませんでしたから、大学2年生のただのバスケファンみたいな感じで自己紹介をしたくらい。その後、世界最大級の3x3の大会が大学のあるスポケーンで開催されて、そこに塁さんがゲストで来た時に話したり。ただその程度です。 ――そうなのですね。ただ今年は夏の先パリ五輪に向けて、ともに日本代表で活動する機会があるかもしれません。 宮田:いつか同じ環境の中にいられるようになれたら嬉しいです。無論、まだまだ遠い存在であるのには違いないので、僕がそこに一歩ずつでも毎日近づいて、話ができる日が来ればいいなって思います。
日本との差は何よりモチベーション
――ゴンザガ大学のヘッドコーチは、アメリカ代表でもアシスタントコーチとして活躍しているマーク・フューです。彼が率いるチームからはどんなことを学びましたか? 宮田:ゴンザガ大学のバスケのレベルが高いことは事前に分かっていたんですけど、アメリカに行くまでは体格の違いであったり、日本人が超えられない壁があるんじゃないかと思っていました。ただコーチの近くにいるなかで思ったのが、何よりモチベーションの差でした。何を目指しているのかという目的意識、取り組み方、バスケへの熱や愛が、僕が生きてきた世界のものとは全然違ったんです。そんななかで気持ちの部分で負けていたら、それは世界に追いつけないよなって。 当時キャプテンだったコーリー・キスパート(現ワシントン・ウィザーズ)のリーダーシップも凄かったです。僕らが日本で小学生に教えるような基本的なことを、カレッジのレベルでも徹底していました。練習も効率の良いメニューを短い時間の中でぎゅっと遂行していたという印象はありました。 ――ではNBAの話も伺えればと思います。NBAはいつから見始めましたか? 宮田:しっかり見始めたのはウォリアーズとキャバリアーズがNBAファイナルで戦った2015年ですね。キャバリアーズにレブロン・ジェームズがいた時です。あの時のプレイオフを記憶は鮮明に残っています。 ――特に印象に残っているのは? 宮田:王道過ぎるかもしれませんが、やはりウォリアーズの戦術面です。シューターを活かすチームがすごく魅力的で。期待値が高いシュートをいかに打てるかというのはとても大事ですから。相手がステフのことを全力で止めにくるなかで、彼にボールを持たせてシュートチャンスを作ることができるのはチームオフェンスの賜物。それを実現する選手たち、そしてシステムを構築したコーチ陣というのは本当に参考になりました。 ――他に参考になる部分はありますか? 宮田:選手がプレイで悩みを抱えている時、その答えを導くためにNBAのクリップが参考になる時があります。試合全体を観るのは自分の楽しみという部分がありますが、ポイントでプレイを切り取ってみることをしています。やはり世界最高峰のリーグなので、参考にできる部分は多いですね。自分のアイディアをより可視化したものとして、NBAから勉強させてもらっています。