福島第一原発 “最悪の事態”を食い止めた現場のリアル 当事者たちは「話せない」から「教訓のため」 【東日本大震災13年の“あれから”】
■敷地内の放射線量は“国家機密”
当時の政府が想定した最悪のシナリオは「東日本壊滅」でした。 自衛隊のヘリによる上空からの放水作戦は失敗。 東京電力本店・実際の音声 「ダメだなー かかってねーよ」 「多分届いてねーや」「何だよ」 最大の危機を救ったのは東京消防庁ハイパーレスキュー隊だった。 東京消防庁ハイパーレスキュー隊・冨岡豊彦さん 「原発の敷地内の放射線量というのは、私の記憶だとですよ。国家機密だと言われたんですね。あの状況なのに」
■妊娠初期の妻が「行ってこい!」と
3月18日午後11時頃、暗闇・高線量の中で海にホースを出し、燃料プールへの放水を実現した。 東京消防庁ハイパーレスキュー隊 三縞圭さん 「無線の交信がものすごい怒鳴り声でやってるんで」 その過酷な作業を陰で支える家族たちがいた。 東京消防庁ハイパーレスキュー隊・三縞圭さん 「(妻は)妊娠初期だったので、そこだけがやっぱりちょっとネックではあったんですけど、看護師をやっているんですけれども。『行ってこい!』というメールが返ってきたんで」 3月19日午後10時40分ごろ、東京消防庁ハイパーレスキュー隊・冨岡豊彦さんは会見で、「隊員は非常に士気が高いので、みんな一所懸命やってくれました。残された家族ですね。本当に申し訳ないと。この場でお詫びと御礼を申し上げたい」と涙を浮かべながら語りました。
■自衛隊の極秘作戦 吉田所長は「みんな頑張れって言うだけ」と
10年後の今、初めて明かされる自衛隊による極秘作戦とは。 元陸上自衛隊陸将 田浦正人さん 「吉田所長から電話があって“来てくれって言われたらすぐ行きます”と言いました」 「(吉田所長は)『みんな他人事なんです。頑張れ頑張れって言うだけなんです。でも、もう私たちは、現場は、頑張れの限度を超えているんです』と(言っていた)」 「『田浦さんたち自衛隊が、自分たちのことをここまで考えてくれてるのがうれしいんだ』ということで、ちょっと涙を流された」 あの日、日本を救うため命を賭した隊員。震災後10年で初めて明かされる、これまで語られてこなかった新真実があった。