福島第一原発 “最悪の事態”を食い止めた現場のリアル 当事者たちは「話せない」から「教訓のため」 【東日本大震災13年の“あれから”】
(※NNNドキュメント「1Fリアル」で放送されたものを再編集しました)
【取材した福島中央テレビ・岳野高弘 2024年3月に思うこと】
この取材を始めたころ、原発事故から10年が経とうとする中、風化が進み、情報が散乱し始めていると感じていました。「1F」事故の経緯について、改めて自分なりに調べてみると、事故収束作業にあたった人たちの様々な思い、複雑な思いがあることが分かりました。それらはどれも後世に残すべきものでした。 これをテレビマンとしてどう伝えるか、いかに分かりやすく、コンパクトにまとめ、そして何を伝えるのか、そうした点を悩みながら制作しました。 危機に直面した時に彼らは何を思い、どう動いたのか。それらは人にもともと備わっているものなのか。それを見て、人々は何を感じるのか。そして、日本は一体“何に”救われたのか。特に若い世代に知ってもらうことを意識しました。 この取材が始まる前の2017年、私はかつて日本が受けた原爆攻撃の取材に力を入れていました。21万人以上を殺戮した悪魔の兵器・原爆をなぜ日本は防げなかったのか。 私は、元兵士や被爆者にしたように、時間、場所、その時見たものなど可能な限り細かく、聞き取るようにインタビューをしました。私の中では太平洋戦争の過ちを伝えることと福島第一原発事故を伝えることがほとんど一緒でした。言えないこと、不都合なこと、本当のことが明らかになるには時間が必要です。 『1Fリアル』という番組は福島県内で数回、全国では2度放送されましたが、ほとんどの人が見たことがないと思います。今後、できるだけ多くの人に見てもらえるよう、知恵を絞っていきたいと思っています。