北の富士さんをしのぶ会に2000人 八角理事長「恩返しは親方と同じように相撲人生を全うすること」
大相撲の元横綱で解説者としても人気があり、11月12日に82歳で死去した北の富士勝昭(本名・竹沢勝昭)さんをしのぶ会が18日、東京・墨田区の八角部屋で開かれた。発起人代表を務めた弟子の日本相撲協会・八角理事長(元横綱北勝海)らが別れの言葉を述べ、故人をしのんだ。戒名は「徳粋院殿釋勝縁大居士(とくすいいんでんしゃくしょうえんだいこじ)」。 ●元高見山・渡辺さん「親分みたいな人」 立ち居振る舞いに、ふさわしい。戒名には軽妙洒脱(しゃだつ)の中に織り込む厳しい論評、和服やダンディーな洋服を着こなした北の富士さんに似合う「粋」、本名から「勝」の字が刻まれた。 協会の理事長を務めた元大関豊山の内田勝男さん(87)をはじめ、多くの現役親方、大関琴桜ら世代や一門を超えた関係者、一般の参列者ら約2000人が別れを惜しんだ。八角理事長は「14歳で親方に出会えたこと、かけがえのない出会いがなかったら今の私はありません」と目頭を押さえ、「恩返しは大相撲の伝統文化を守り、未来への伝承に全力を尽くし、親方と同じように相撲人生を全うすること」と声を詰まらせた。 元関脇高見山の渡辺大五郎さん(80)も参列。昭和42年初場所後に故人の師匠だった九重親方(元横綱千代の山)が分家独立を許さない出羽海部屋の不文律を破って独立。大関だった北の富士さんも行動をともにして破門とされたが、高砂一門が手を差し伸べた。 高砂部屋に所属し、新十両だった渡辺さんは「親分みたいな人。稽古もよくやってくれた。恩返しのつもりで土俵で頑張った」と懐かしんだ。(奥村展也) ★主な参列者 芝田山親方(元横綱大乃国)、音羽山親方(元横綱鶴竜)、九重親方(元大関千代大海)、陸奥親方(元大関霧島)、幕内平戸海、玉鷲、佐田の海、天龍源一郎、小橋建太(ともに元プロレスラー)、鈴木宗男(参院議員)、松山千春(歌手)=(敬称略、順不動)