【40代、50代・どうする?眼瞼下垂⑥/眼瞼下垂手術の体験レポート】前編~まぶたが重い! 目が開かない!からの脱却
眼瞼下垂の程度を確認するテストは、第1回<【40代、50代・どうする?眼瞼下垂 】急増中の眼瞼下垂(がんけんかすい)の症状って? セルフチェックの方法を専門医が解説!>で紹介した「MRDによる眼瞼下垂の判定」を参考に。セルフチェックもできる。
MRDチェック。おでこを動かさないようにして慎重にこのテストをやると、確かに「中度」。疲れていたら「重度」にもなりそう。 自分は眼瞼下垂の症状があると思っているのに、眼瞼下垂と診断されなかった人の中には、同じ隠れ眼瞼下垂の人がたくさんいるのだろうと確信!
治療とともに自然な二重になる⁉ 保険適用の「TKD切開法」
トントン拍子に手術したように見えるが、実際には手術法について慎重に予習をしていた。 というのも高田先生の手術法は、他の医療機関にはない「TKD切開法」というオリジナル手法だったからだ。高田先生は眼科医でありながら形成外科を学んできたという珍しい医師。眼科医ゆえ、手術は“顕微鏡下”で行われる。
眼瞼下垂の手術にはいくつか代表的な術法があり、その中で最も一般的で安定した仕上がりが期待できるのが、新しい考え方の「挙筋腱膜前転法」。「ファシアリリース」を用いた挙筋腱膜前転法がそれだ。 高田先生の医院では、「TKD切開法」という手法を加えた独自の手術を行っている。「TKD切開法」とは、不自然に二重が広くなりすぎないようにするための皮膚切開デザインのことだ。 挙筋腱膜前転法は、まぶたを切開して挙筋腱膜を引き出して前転させ、瞼板に再固定する方法だが、傷つきやすく再発もしやすいミュラー筋には触らないので、安心な術法といえる。
手術の直前に撮ってもらった写真。治療用のリクライニングチェアに座り、笑気麻酔。これから局所麻酔に入るところ。ドキドキ… で、TKD切開は何が違うのか? 「眼瞼下垂の手術に求められるのは、まぶたの機能を正常にするだけでなく、できるだけ人相を変えないこと、不自然な印象を与えずに美しい目にすることだと思っています。 当院は、保険診療の眼瞼下垂手術に特化したクリニック。保険診療だと、どうしても仕上がりに配慮しないと思われることが多いのですが、私は決してそうではありません。 美容外科での手術では、幅の広い二重にしたい人が多いでしょう? ところが、当院の患者さんの中には他院の手術で二重の幅が広くなりすぎてしまい、それを狭めてほしいという人がとても多いんです。 そこで考え出したのがTKD切開法でした。切開するのは通常よりずっとまつ毛の根元に近いライン。まぶたのきわに近いほうが傷あとが目立ちにくく、不自然な二重になる心配もありません。その分、技術は難しいですが…。 保険診療なので皮膚自体の切除は3~4㎜程度で、眼輪筋や眼窩脂肪も二重幅をつくるだけの最小限の切除にします。 さらに、ファシアリリース(結合組織による癒着を剥がす)を追加して腱膜をフリーにするため、負荷の少ない状態で前転・固定することができ、それが自然な二重につながるんです」 こんな説明をしてくれた高田先生。信頼しないわけにはいかない。そして、いよいよ手術にこぎ着けた。 もちろん、TKD切開法+ファシアリリース。 はたして、目は開けやすくなるのだろうか? どれくらいで目立たなくなるのだろうか?
【教えてくれたのは】 高田尚忠さん 眼科医。高田眼科(静岡県浜松市)院長、フラミンゴ眼瞼・美容クリニック(愛知県名古屋市)主宰。眼科医と形成外科医の知識、豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとにファシアリリース法を考案。保険適用手術にこだわり、手がける眼瞼下垂手術は年間2000件以上。全国から患者が来院。メールでの眼瞼下垂相談も可能。 イラスト/かくたりかこ 取材・原文・画像制作/蓮見則子