60年前の「ホンダF1」に角田選手が大興奮! 伝説の初優勝マシン「RA272」を英国グッドウッドでドライブ。
角田選手「まるでビースト! 骨の髄まで振動が伝わってきた」
RA272には、ゼッケン11のリッチー・ギンサー用と、ゼッケン12のロニー・バックナム用の2台があって、今回角田選手がドライブしたのは11番のマシン。日の丸の横には、ブルーで「GINTHER(ギンサー)」のネームが刻まれている。シートに収まった角田選手はコックピットドリルを受けたのち、ホンダ製V12気筒の甲高いホンダサウンドをグッドウッドの丘に響かせながら、藁でできたバリアで囲まれたヒルクライムコースを駆け上がって行った。 実は筆者は2014年のグッドウッドを取材したことがあり、この時も同じゼッケン11のギンサー用RA272が持ち込まれていて、コースを走る姿を写真に収めている。しかしこの時のドライバーはホンダワークスだったガブリエル・タルキーニ氏で、彼の少し大きな体躯と装着していたフルフェイスのヘルメットがなんとなくマシンとのバランスを狂わしていて、ちょっとだけ違和感があったのを思い出した。 今回の角田選手は、当時のモデルに合わせて白いジェットヘルにゴーグル、白のスパルコ製レーシングスーツという60年代風スタイルで、小柄なこともあって完璧にキマッている。 「ホンダのレーシングスピリットから始まった60年の歴史に参加できること、そしてホンダにとってF1初の優勝車でドライブするのが待ちきれません」と語っていた角田選手は走行後のグッドウッド公式サイトのインタビューで、「このようなクラシックレーシングカーを運転するのは初めてで、エンジンを始動して走り出すのがとても難しかったです。でも感覚はダイレクトで、すべてを自分がコントロールしているようで気持ちがいいのです。僕は体が小さいのですが、RA272のコックピットはかなりタイトで、ついに自分にぴったりのモノコックボディを見つけました」と言い、さらに「メカニックからは、おばあちゃんに相対するように、ジェントルですべてに優しく扱うようにと言われました。コックピットにはスイッチが少なくて運転に集中できるし、右側にあるスティックのシフトをダイレクトに操る感覚は、現代のF1カーとは全く異なる難しさと楽しさがあります」とコメント。そしてゴール直後には、「まるで獣(ビースト)のように骨の髄まで伝わってくる振動は、これまでに感じたことのないものだ」と叫んでいる。