学生に「人気がない」は「不認知」のせい 応募者集めは“攻め”で
これらに加えて、大学のキャリアセンターと関係を深める方法もあります。ただし、大学に行って、職員の方と名刺交換をして「うちはこんな会社です。もしよかったら学生を紹介してください」と言うだけでは、紹介してもらうのは難しいでしょう。 まず社員の出身者が多いトップ5校に絞る。その上で、キャリアセンターのニーズを満たすような取り組みをする。例えば、業界研究イベントを企画する、模擬面接の面接官を務めるなど自社の採用のためではなく、学生の就職支援の1つとして実施します。結果的に学生が自社を知ることにつながります。 また、キャリアセンターとの関係性も構築されます。キャリアセンターの方が、学生向けの就職支援企画を立て、誰に協力を依頼できるかなと考えた時に、最初に頭に浮かぶ人になっていれば、継続的に依頼されるようになります。すると、キャリアセンターから「就活中の学生がいるのですが、面接をしてもらうことは可能ですか?」といった相談が来るようになるかもしれません。 ●応募者が来たとして、どんな話をする? 「来てもらえさえすれば、興味を持ってもらえるのに」。これもよく採用担当者から聞くセリフです。もっとも、「応募者が来たとして、どんな話をするのですか?」と質問すると、答えに詰まる方がほとんどです。学生と出会う前に、いざ出会ったら話せるような準備ができていないといけません。その用意がなければ、出会ったところで、自社に興味を持ってもらえないからです。 これは人気企業でも同じです。ある人気企業の担当者から「多様な人材がほしいので、この業界を志望しない学生にも振り向いてほしい。どうしたら集められるか」と質問されました。そこで「業界に高い興味、関心がない人が目の前にいるとしたら、どう話しかけますか?」と言ったら、その方はあまりうまく答えられませんでした。人気企業であっても、自分たちの業界を向いていない人を振り向かせたいなら、事前の準備が必要です。 従来の採用活動では就職情報サイトに求人情報を載せて待っていれば、学生と接点を持つことができました。しかし、売り手市場の今、状況は変わってきています。インターンシップの影響で内定時期がさらに早期化し、学生の行動量が減っていて、これまでと同じやり方では学生は集まりません。 待つのではなく、積極的に学生と出会う機会をつくり、情報発信して、学生の認知を変えていくくらいの思考や行動が必要なのです。 (構成=荻島央江)
谷出 正直