学生に「人気がない」は「不認知」のせい 応募者集めは“攻め”で
「うちの業界(会社)は学生に人気がありません。どうしたら応募者を集められますか?」 企業の採用担当者からよく聞かれる質問です。私が思うにそれは人気がないというより、認知されていないケースのほうが多いと思います。認知されていない理由には2つあって、1つは、普段、生活する中ではあまり目にしない業界や企業には興味を持つきっかけがないこと。もう1つは、業界や企業、仕事のイメージと実態がかけ離れて学生に捉えられてしまっているため。だから応募者が来ないのです。 就職情報サイトの場合、企業は受け身の姿勢です。学生が自社を見つけてくれるまで待つことしかできず、学生がエントリーしてくれなければ接点が持てません。 ●自社を知らない学生にアプローチする方法 ではどうするか。待っていても来ないなら、自分たちから動けばいいのです。自社のことを知らない学生に直接アプローチする方法はいくつもあります。 まず1つ目の方法として「スカウトサイト」があります。新卒採用におけるスカウトとは、企業から自社が採用したいと思う学生にメッセージを送り、応募してもらう方法です。 基本的なプロセスは、以下のとおりです。学生が「スカウトサイト」にプロフィルを登録する。企業が学生のプロフィルを確認し、興味を持った学生にスカウトメールを送信する。メッセージを受け取った学生が応じれば、個別面談や説明会といった接点がつくられます。 学生が「ぜひ一度、会ってみたい」と思うような魅力的なメッセージを書かなければならないものの、直接、企業から学生と接点がつくれるのがメリットです。学生から支持の高い「OfferBox」の場合、約24.7万人が利用しています(OfferBox 2024年卒利用実績データより)。就活生の2人に1人が使っていることになります。
次に、人材紹介という方法もあります。企業から依頼を受けた人材紹介会社が、企業の求める人物像や条件にマッチした学生を紹介する、というものです。中途採用で利用している企業も多いのではないでしょうか。紹介された学生が入社した際に50万円から100万円程度の料金が発生しますが、就職情報サイトのように初期費用がかからず、面接の日程調整も人材紹介会社がしてくれるなど、少人数の採用においては、企業にとって費用対効果の高い採用手法となります。 「そうした方法が有効なのは分かるが、そこまで費用をかけられない」という企業もあるでしょう。その場合でも方法はあります。 ●昔ながらの採用手法も工夫次第 例えば、SNSや動画などで自ら発信するのもいいでしょう。就職情報サイトの決められたフォーマットの中で、自社の良さや特徴が伝わらないなら、それが伝わるような情報を発信できるプラットフォームを使う、というのも1つの手です。 また、自社の社員から信用のおける人を紹介してもらう「リファラル採用」もいいでしょう。それこそ内定者から後輩を紹介してもらうのが、一番効果的な取り組みになります。 このほかに、OB・OG訪問を会社から呼びかけるという手もあります。ある企業では、積極的にOB・OG訪問してもらいやすい体制を整えています。自社ホームページに、出身大学別に先輩社員の情報を掲載。氏名、入社年度、学部やゼミ、出身高校まで紹介されており、そこからOB・OG訪問を申し込めるようになっています。 今は個人情報を出すのを嫌がる社員も多いですし、会社としても社員の情報を公開することで、他社にヘッドハンティングされてしまうことも考えられます。だからこそここまでできない会社が多いのですが、この企業は社員との間に共通認識があり、信頼関係がつくれているからできている、と言えます。OB・OG訪問は昔からある採用手法とはいえ、少しやり方を変えるだけで、就職情報サイトに頼ることなく、学生との接点をつくることができ、内定者となり得るのです。