「富士山噴火は必ず起きる」決定的根拠と、その引き金になる不気味な予兆【池上彰の未来予測】
「世界的に例をみない少子高齢化社会」「異常気象」「終身雇用制度の崩壊」「AIの台頭」 社会の変化のスピードがはやまり、誰しもが未来や人生の見通しが立てられない時代となっています。 日本に生まれること=幸福以外のなにものでもないはずでした。それは、もう過去の話なのでしょうか。 変化の激しい時代を生きる子供たちを育て、 遠い未来だった「老後」が少しずつ現実味を帯びてきているオトナサローネ読者にとって、 自分たちの将来はもちろん、子供たちが生活する未来の姿を想像するとなおさら不安が押し寄せます。 私たちの、日本の、未来は果たして―。 そんな永遠に解消できないような不安の中で生きている私たちに、よりどころとなるようなお話をしたいと思います。 新刊『池上彰の未来予測 After 2040』(主婦の友社刊)で、池上彰先生がつづっている未来の話から、自分たちが、日本が明るい未来を迎えるためには、今からどう行動していけばいいのかを、考えていきましょう。 今回は、日本人なら誰しも頭の片隅で不安に思っている自然災害について取り上げます。
2040年までに「南海トラフ地震」「首都直下地震」「富士山の噴火」が発生する
今後16年の間に、上記の恐ろしい自然災害は発生すると言われています。 「日本で生活する以上、避けられないのが地震です。日本は地震多発国であり、世界で起きているマグニチュード6以上の地震の約2割が日本で起きています。 日本に安全な場所はありません。たとえば阪神・淡路大震災では被害が少なかった京都も、平安時代から頻繁に大きな地震が起きていたことがわかっています。 2040年までの間に起きる可能性が高いといわれているのが、『南海トラフ地震』『首都直下地震』『富士山の噴火』です」 この記事では、上記3つの中から富士山噴火に特化して紹介したいと思います。
2011年。多くの専門家が、富士山が噴火してもおかしくないと覚悟した
まず気になるのは、どんな流れで噴火が起こるのかということ。前兆はあるのでしょうか? 「富士山はかつて休火山だと考えられていましたが、1975年に火山噴火予知連絡会がいつ噴火してもおかしくない『活火山』と認定しました。そのため気象庁が、噴火の兆候がないか日々監視をしています。 富士山ほどの巨大な火山が噴火するときには、地下からのマグマが上にあがろうとして 『火山性地震』が起きます。マグマが山頂付近まで上がってくると『火山性微動』が起き、これが観測されたらその直後、30分から半日程度で噴火をします。 実は火山性地震は、最近2度起きています。1度目は2000年で、2度目は東日本大震災から4日後に起きたもので、静岡県富士宮市で震度6強を観測しました。 多くの専門家が『いつ噴火してもおかしくない』と覚悟したという、この11年3月15日の地震は、富士山山頂から20㎞地下にある『マグマだまり』の少し上で起きた火山性の高周波地震で、マグマだまりの天井が割れたとみられています。 そのため今後もし南海トラフ地震が起きれば、それが富士山噴火の引き金になるとも考えられています」
前編記事では富士山噴火の可能性について触れました。続く【後編記事】では、富士山噴火の歴史から、「今噴火が起こったら?」その被害予測や大きな地震のあとに富士山噴火が実際に起こった当時の例を紹介します。
池上彰