「タワマンが廃墟に」「荒川区・足立区が衰退」「年金は10万円以下」……2050年の人口減少日本で起きる「異常事態」
わずか25年前から、世界情勢や科学技術、自然環境は恐ろしく変化した。だがこの先25年は、さらに大きな変化が待ち受けている。一体どうなるのか、精緻に予測してみよう。 【写真で一気に見る】2050年、日本の各都道府県で起きる「想定外の事態」 前編記事『「大阪で日本語が通じなくなる」「2000万人が消失」「世界の食料争奪戦に巻き込まれる」…2050年の日本で起きる「想像を絶する事態」』より続く。
最後まで生き残るのは愛知
ここからは「日本の地域別将来推計人口」('23年、社人研)を参照して、具体的な都道府県や街の様相に焦点を当てていこう。 47都道府県のうち、'50年に人口が増えているのは東京都だけである。'20年と比べて人口減少幅がマイナス9%以下にとどまる都道府県は、千葉、埼玉、神奈川、沖縄しかない。他の都道府県は大きく人口を減らす。 意外なことに、約880万人が住む大阪府ですら、全市町村で人口が減少してしまうのだ。 「'50年には若者が東京にどんどん流出し、大阪は高齢化してしまう。大阪、愛知、福岡の大都市で比較すると、人口が減少する中で最後まで生き残るのは愛知です。 家電産業が陰りを見せている大阪、世界的企業が乏しい福岡とは違い、トヨタをはじめ海外に打って出られる産業が残っているためです」(河合氏) 減少幅の大きい東北を見ると、秋田県と青森県は4割近くも減ってしまう。'50年までには、山形市や青森市などの県庁所在地ですら20万人を割り、都市機能が衰退するだろう。
東京に住む3割は高齢者、豊洲のタワマンも廃墟に
'50年の東京都は相変わらず、約1440万人の巨大な都市であり続ける。 ここで想像してみてほしい。その居住者の約3割は高齢者だ。 彼らの需要に応えるべく、たとえば若者の街だった渋谷・原宿には、高齢者向け衣料品店・専門店が増加する。60代後半の人々が労働力を支え、電車・バスの座席はすべてシルバーシートに変わっているだろう。 だがそれ以上に、未来の東京を特徴づける厄介な問題がある。'00年前後から林立し始めたタワーマンションだ。 『ようこそ、2050年の東京へ』の著書がある、住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。 「'50年の東京を考えるとき、最も深刻化していそうな問題がタワマンです。漏水リスクを防ぐために15年に一度ほどは外壁修繕が必要になるのですが、一般のマンションとは異なり、ゴンドラや移動昇降式足場を使うので工期が長く高額化する。 高速エレベーターなど特殊設備の更新も高額なので、2回目、つまり30年後の大規模修繕のときには資金不足に陥ってしまう可能性があります。 その後、高齢化した住民の収入が減ったり、外国人居住比率が高くなると、修繕積立金を値上げしていく合意形成も難しく、3回目の大規模修繕工事が実施できなくなる。私はかねがね『タワマン45年寿命説』を唱えていますが、'50年の東京には廃墟化する危機を迎えたタワマンが立ち並んでいることでしょう」 豊洲や幕張、東雲、天王洲アイルなど湾岸エリアに建つタワマンは、潮風を受けて外壁が劣化しやすいこともあり、武蔵小杉エリアのタワマンよりもスラム化して廃墟となる可能性が高いという。 東京23区では明暗がくっきりと分かれる。 中央・千代田・港区の都心3区が人口を吸い続ける一方、衰えゆく地域も多い。榊氏が続ける。 「23区内で将来的に衰えていくのは、荒川区や足立区、葛飾区など東京東部の下町エリアです。地元の人が長く住んでおり、若者がなかなか流入してこないので、街の新陳代謝が進まずに荒んでいくと考えられます」 では、東京圏を俯瞰してみたとき、活気が溢れている街とはどのようなところか。 「何十年も前につくられたニュータウンや晴海フラッグなど、イチから人工的につくられた街は面白味に欠け、交通も不便なために衰退していきます。他方、昔ながらの宿場町や城下町は交通の便が良く、急速に衰えゆくことはありません。東海道線沿線の街や、川越、浦和などは衰退しにくいでしょう」(榊氏)