会話が苦手な人でも出来る「相手から信頼される」話し方
ネガティブがもたらす共感論
もう一つ「ユーモア」と共通点があるのが「ネガティブ」。笑える失敗談で安心感が生まれるのと同じように、ネガティブな自分を晒すことで相手はやはり安心する。 ほとんどの人が自分自身になんらかのネガティブな要素を持っている。笑える失敗談ではなく、落ち込んでしまうほどの失敗談や、トラウマになっているほどの経験などだ。 このような経験を「汚点」と捉え、誰にも言えないままの人は、相手に自分の過去の汚点を見せまいとして、武装態勢をとる。この状態では、信頼関係は築けない。相手も同じように自分で自分を受け入れられない過去を持っているならなおさらだ。 しかし、もしここで、どちらかが先に「実は…」と自分の過去のトラウマを打ち明けたとしたらどうだろうか。「自分だけがネガティブな人」だと思っていたのに、相手も自分と同じような過去を持っていたと知ったら、こんなふうに反応する。 「意外ですね」 笑える失敗談を披露したときと同じ展開の始まりである。ネガティブはチョコの味。同じ経験をした人同士は、共感を覚え、優しい気持ちになる。ネガティブな自分を恥ずかしがらず正直に言ったことで、「あなたもそうでしたか」と安心できる空気感が生まれる。 例えば、 ・緊張 ・照れ ・羞恥心 ・怒り ・恐れ どんなネガティブな感情でも構わない。自分のありのままの感情を表すことが大切だ。「そんな話を聞かせてもらえるなんて思わなかった」こう相手が思ってくれたら、心が動きだし、扉を開く準備が整った状態と言える。 そして、相手の心を動かすためには、自分の自己開示も感情を伴っている必要がある。感情が伴う自己開示=本音であり、そこにギャップがあればあるほど、その人の魅力になり、信頼感に繋がる。
下間都代子(声・話し方の総合プロデューサー)