狂言師が伝授「古来の呼吸法」こそ現代人に効く 670年以上続く狂言の呼吸法をもとにした健康法
「和儀」は、670年以上続く狂言の伝統的な身体技法や呼吸法をもとにした新しい健康法です。狂言師の呼吸法は、丹田を意識した深い腹式呼吸を基本としています。本稿では、『カラダが20歳若返る! 和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』より一部抜粋・再構成のうえ、狂言師たちが心身のバランスを保っている「呼吸法」の取り入れ方についてご紹介します。 ■理想の呼吸は深い呼吸、腹式呼吸 現代は、生活習慣の変化やストレスの影響もあって、多くの人が浅い胸式呼吸をおこなっています。
理想の呼吸は「たくさんの酸素を取り入れること」。 胸式呼吸は、胸郭と呼ばれる肋骨に覆われた部分を拡張して息を吸う方法ですが、胸式呼吸を続けることで、健全な心身を保ちにくくなります。 じつは、胸式呼吸は酸素を十分に取り入れることができず、体の隅々まで十分な酸素を供給できていない可能性があるのです。 和儀の指導でおこなっているのは「丹田呼吸」ですが、これは深い呼吸、腹式呼吸でもあります。 イメージでいうと、まず身体全体は脱力します。次に、お腹がぺったんこになるまで息を吐き切って、下腹に収縮感(丹田)を感じ、吸うときはお腹にも背中にも空気を入れる呼吸です。
■浅い呼吸は心身の健康に悪影響を及ぼす 本来、腹式呼吸のようにしっかりとした呼吸で酸素を身体中の細胞に運べば、細胞質内の酸素がエネルギーを作ります。もっといえば、ミトコンドリア(クエン酸回路・電子伝達系)がエネルギーを作るのに酸素を必要とするのです。 このエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)と言いますが、筋肉の稼働、身体の代謝、DNA複製などに寄与します。胸式呼吸によって十分に酸素が取り入れられないということは、細胞のエネルギー産生が減少し、ATPの生成が滞るため、身体全体の代謝が低下するということです。
そのため、慢性的な疲労感や集中力の低下、体温の低下、免疫力の低下など、さまざまな不調が現れます。また、それだけでなく、浅い呼吸は交感神経を優位にしやすく、ストレスを増幅させてしまいます。 胸式呼吸によって、身体はつねに緊張状態となり、副交感神経が働きにくくなるため、リラックスできず、心身の疲労が蓄積されます。その結果、精神的な不安や焦りが増してしまい、長期的には心身の健康に悪影響を及ぼすリスクが高まるのです。