「迷ったり悩んだりしたときは」“禅の力”に頼ろう ちょっとした不満も心の持ちようで何とかなる
怒り、焦り、嫉妬、不安、後悔……マイナス感情というのは、自然と湧いてくるものであり、それを止めることはできない。けれどもその感情をいつまでも「引きずる」のはよくない――。 新著『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力』では、禅僧であり、世界的な庭園デザイナーであり、ベストセラー作家でもある枡野俊明さんが、禅には、「引きずらない力」を磨き、日々を明るく、たくましく生きるためのヒントがたくさんある、と説きます。 【漫画】「愛されないのが辛い人」に教えたい切り替え方
本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。 ■頭に血が上ったときの対処法 「且坐喫茶(しゃざきっさ)」――「まあ、座ってお茶でも飲んで」という禅の教え 「頭に血がのぼる」という表現があります。怒ったり、興奮したりすると、頭がカッカとして、わけがわからなくなることを意味します。 そんな状態のままでは、何をしてもうまくいくわけがありません。頭を一度クールダウンして、仕切り直す必要があります。 この禅語はそのための1つの方法として、「お茶を飲んで、ひと息入れてはどうですか」と教えてくれます。
とくに怒りっぽい人や、パニックに陥りやすい人は、「上手にひと息入れる」ことを覚えたほうがいいでしょう。心に余裕がないまま行動してしまうと、さらに余裕がなくなるという悪循環に陥ってしまうからです。 休む時間を惜しまず、ゆっくりお茶でも飲みながら、態勢を立て直す。それが、仕事を進めるうえで、一番効率的といえます。 まさにお茶は、「頭の切り替えをうながす妙薬」なのです。 ■うまくいかないときの対処法 「無一物中無尽蔵(むいちもつちゅうむじんぞう)」――「失うものなんて、何もない」という禅の教え
禅語に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」というものがあります。 人はみんな、何も持たずに生まれてきます。まさに「無一物」だったのです。死んでゆくときも同じ。生前得たすべての物をこの世に置いて、「無一物」のままあの世に旅立ちます。 そう考えると、いまのポジションも、年収も、仕事の成果も、家も、洋服も、何もかもに対する執着が消えていくのではないでしょうか。「すべてを失ったところで、人間の本来の姿に戻るだけ」と割り切ることができます。