「迷ったり悩んだりしたときは」“禅の力”に頼ろう ちょっとした不満も心の持ちようで何とかなる
もっとうれしいのは、「無一物中無尽蔵」という禅語。 「何もない」とはつまり、この先に無限の可能性が広がっていることだ、というのです。 みなさんも何かうまくいかないことがあっても、悩む必要はありません。「裸一貫に戻るだけ。その先は何者にでもなれる可能性が開けている」と心を切り替えましょう。前を向いて、力強い一歩を踏み出すことができます。 「大道在目前(だいどうもくぜんにあり)」――「進むべき道は一つではない」という禅の教え
趙州(じょうしゅう)禅師はあるとき、弟子から「どの道を行けば、長安に辿り着けますか」と尋ねられました。 禅師は1つの道を指し示すかと思いきや、「どの道を通っても、長安に着きますよ」と答えられたといいます。 このエピソードを通して禅師は、「迷いを去って大悟するのに、この修行のしかたでなければいけないというものはない。どの道を行っても、しっかり修行して、真実を見る目を養えば、必ず大悟の境地に達する」と説いているのです。
何かに行き詰まり、自らの進むべき道がわからなくなったようなときは、まず「この道しかない」という思い込みを捨てましょう。 そうすると視野が広がり、ほかにもさまざまな道があることに気づきます。1つの道がダメなら、ほかの道を行ってみればいいだけのこと。ゴールさえ見失わなければ、大丈夫です。 富士山にもいろんな登山口があるように、何事を成すにも1つの入り口にこだわることはありません。行き詰まったら、多様なアプローチを試みてください。
■変化を恐れてはいけない 「諸行無常(しょぎょうむじょう)」――「いいことも悪いこともいつか終わる」という禅の教え 「諸行無常」は、仏教の根本思想の1つ。「この世で起こることは一切合切が、片時もとどまっていない」という教えです。 たとえば生まれた命は、日々刻々と変化しながら、やがて死を迎えます。自分を取り巻く環境も、毎日の出来事も、常に変化しています。 ところが人間というのは、なぜか「変化」を受け入れるのが苦手です。うまくいっているときも、うまくいっていないときも「この状況がずっと続く」ように思い込みがち。「無常」に逆らう考え方をしてしまうのです。