リスクを最小限に抑えるお任せ運用「ロボアド」投資術
預かり資産1兆3000億円を突破した「ウェルスナビ」
富裕層が、資産運用のプロである「プライベートバンク」や「ヘッジファンド」と呼ばれる銀行や運用機関を活用していることはよく知られている。通常の証券会社や銀行による一任勘定と呼ばれる投資手法を使った「ラップ口座」もポピュラーだ。資産運用の知識に長けた専門家に任せてしまう方法だ。 もっとも、プライベートバンク、ヘッジファンドやラップ口座は、最低預入金額が最低でも1000万円、多ければ1億円という具合に、高額な運用資金が必要だった。いわば富裕層の特権だったわけだ。それが、法改正などによって大幅に規制緩和され、現在では最低1000円や1万円程度で、AIや運用プログラムが自動的に運用してくれる「自動運用型」サービスが多数提供されている。 なかでもAIが自動的に運用してくれる商品(ロボアド)は急速に預かり資産を増やしており、それなりの運用成績を残している。人間のファンドマネージャーによる運用ではない分、運用コストも安く抑えられる。一般的な投資家であっても、最高レベルの運用テクニックを使って、自分の資産を運用してもらえる時代になったということだ。 たとえば、自動運用型の先駆けとなった「WealthNavi」(運営会社はウェルスナビ)は、2016年7月に運用を開始して以来、預かり資産額は、2024年7月現在で1兆3000億円を突破しており、運用者数も40万人(24年6月末)となっている。2024年から導入された新型NISAを使って運用できる「おまかせNISA」も提供しており、ロボアドバイザーの自動運用型サービスの提供機関としては、最も大きな存在となっている。 ちなみに「WealthNavi」以外にも、「らくらく投資、楽ラップ」(楽天証券)、「ROBOPRO」(FOLIO)、「SMBCロボアドバイザー」(三井住友銀行)、「SBIラップ(SBI証券)、「THEO+docomo」(NTTドコモ)など、数多くのサービスが市場参入している。以下に代表的なものについて、具体的なサービス内容を紹介する。 ●ウェルスナビ……最低投資金額1万円、最低積立額月1万円、手数料年率1.1%、3000万円を超える部分は0.55%(現金部分を除く)、信託報酬=ETF内で保有コスト年率0.07~0.13%、リスク許容度5段階、投資対象は株、債券、金、不動産のETF、NISAも対象 ●SBIラップ……最低投資金額1万円、最低積立金額月1000円、手数料年率0.660%(AI投資コース)、信託報酬0.1606%、運用コースの選択は不要、AIが自動的にリスク調整、投資対象はファンドによる株、債券、不動産、金、NISAは対象外 ●楽ラップ……最低投資金額1万円、最低積立額月1万円、手数料年率固定報酬型最大0.715%、信託報酬=0.2702%程度、リスク許容度9段階、投資対象は国内外の株、債券、REIT、NISAは対象外 自動運用型とはまた別に、助言だけをする「アドバイス型」と言うのもある。「マネックスアドバイザー」(マネックス証券)、「投信工房」(松井証券)などが有名だが、それぞれの運用会社によって、条件やサービス内容が異なる。アドバイスだけの場合は、運用コストは保有する投資信託などの信託報酬のみになる場合もあり、コストが低く済むメリットがある。 これらの自動運用型の多くは、毎月の積立タイプを推奨しており、時間を分散して自動的に運用してくれる仕組みにもなっている。 具体的には、目標額を決めたうえで、最初に自分の「リスク許容度」を決める必要がある。勝手にAIが決めてくれるものもあるが、できれば自分でリスク許容度を選択して、運用を始めたほうが失敗しても納得がいくかもしれない。 たとえば、月額1万円程度の投資額でスタートして、その運用成績に応じて投資額を随時増やしていくのもひとつの方法だ。また、今回のような暴落があった時には、追加でまとまった資金を投資してもいい。自分で判断せずに放置できるとは言え、運用状況を随時把握することは重要と言える。 リスク許容度によっては、瞬間的に大きなマイナスになる場合も当然ある。たとえば、5段階のリスク許容度のうち中位の3段階を選んでいたとしても、今回の暴落のようなことがあれば、数百万円の資産があれば、数十万円のマイナスが出てもおかしくはない。そこで慌てないことが重要で、リスク許容度をきちんと理解して、あとは自分で判断しないで、最初に決めた目標額を目指すのがいいかもしれない。 (参考URL) ・投資におけるリスク https://www.bk.mufg.jp/column/shisan_unyo/0030.html https://www.mizuho-sc.com/beginner/story2/riskreturn/operation.html https://www.fsa.go.jp/manual/manualj/hoken/10.pdf ・ロボットアドバイザー https://kakaku.com/robot-advisor/ https://my-best.com/6586 https://www.smbc.co.jp/kojin/special/roboadviser/lp.html https://www.bk.mufg.jp/tameru/roboadvisor/index.html
岩崎博充