【要因は中国でなくアメリカ】 日産 2024年度第1四半期の決算発表で利益が大幅減、通期見通しを下方修正
「日産の利益が99%減に」
そんなタイトルのニュースが7月25日、テレビニュースや経済メディアで一斉に報道された。 【写真】グローバルに展開する日産のクルマを写真で (83枚) これは、日産自動車(以下、日産)が7月25日に行った、2024年度第1四半期の決算発表を受けてのものだ。発表によると、第1四半期の売上高は2兆9984億円で、前年同期比では807億円、率にして3%の増加となった。一方で、営業利益は1286億円から10億円と大きく低下し、率にすると99%減となる。 会見の冒頭、チーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)のスチーブ・マー氏は「厳しい市況の中、業績も厳しい結果となった」と話を切り出した。 グローバルでの小売販売台数は、78万7000台で前年同期比では0.2%と微減。仕向け別では、日本が8.0%減、北米が1.7%減、欧州が7.5%増、中国が3.3%増、その他の国や地域が1.0%増だった。 生産台数は、848万台から784万台と7.5%減少。このうち、中国では17.0%減と大きく落ち込み、中国以外では4.4%減だった。 こうした数字をみると、生産台数が変動している中国市場がグローバルでの日産事業に大きな影響を及ぼしていると思う人がいるだろう。 確かに、中国の市場環境の変化に対して日産はすでに対応策に着手しており、今回の生産調整は織り込み済みという印象がある。それよりも、今回の利益99%減となった大きな要因はアメリカ市場にあるようだ。
最大の理由はSUV「ローグ」のイヤーモデル転換の遅れ
仕向地別の市況と日産の販売状況を会見での発表の順に見ていく。 日本は全需が99万6000台で、前年同期で6.8%減少した。内訳としては、登録車が5.2%減で軽自動車が9.7%減である。 日産としては、9万8000台となり8.0%減少で、登録車は14.1%減となった一方で軽自動車は3.7%増となった。2023年にマイナーチェンジした、「デイズ」と「ルークス」が好調のためだ。 登録車については、第2四半期以降に新車投入とマーケティング活動の強化によって、販売台数は着実に回復すると予想している。 次に、北米だ。全需は488万4000台で1.0%増で、日産としては1.7%減。このうちアメリカは3.1%減だった。 販売台数減少の主な理由は大きく3つある。「ローグ」/「セントラ」のモデルイヤーの切り替えの遅れや、収益性の高いモデルの車齢の悪化、そして日産としてはラインナップが少ないハイブリッド車市場が拡大したことを挙げた。 アメリカでは毎年、年次モデルを導入し、販売店はそれらを年度中に売り切るというビジネスモデルが一般的だ。 そうした中、2023年度第4四半期で「ローグ」の2024年モデルイヤーへの切り替えが遅れたため、他メーカーが2024年モデルイヤー車の販売を始めてからも、日産販売店はは2023年モデルイヤーを売り切る必要があった。