更年期症状でよく起こる目や口の乾きは「シェーグレン症候群」かも!?【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ⑩】
ドライアイやドライマウスも更年期でよく起こる症状のひとつ。目が乾いて痛みやかゆみを感じる、口腔が乾いてしゃべりにくいなどの症状がひどい場合は「シェーグレン症候群」の可能性も! それはどのような病気なのか、女性医学の専門医である小川真里子さんに伺った。
目や口など粘膜の乾燥がひどい場合は更年期症状ではないことも!?
更年期になると、皮膚の乾燥をはじめ、涙や唾液の分泌が減って目や口腔内、腟が乾燥してくる。 「こうした乾燥は症状の程度はありますが、多くの人に見られます。これに似た症状のある病気が『シェーグレン症候群』です。 『シェーグレン症候群』は自己免疫疾患のひとつで、ウイルスや細菌などの外敵から体を守る免疫系が暴走して、自分自身を攻撃してしまいます。この標的が涙腺や唾液腺などの外分泌腺で、これらに慢性的に炎症が起こったり、破壊されることで、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が起こる病気です。 国内の推計患者数は約7万人で女性に多く、好発年齢は40代~60代です。原因は不明で、難病に指定されています。 外分泌腺に異常が現れると、涙の分泌が極端に減少することで、眼が乾き、痛みやかゆみが生じたり、異物感を覚えるようになります。重度の場合は角膜や結膜が傷ついて、視力が低下することもあります。 また、唾液腺からの唾液の分泌が減少すると、口腔内が乾き、ネバネバしてしゃべりにくくなったり、頰部にある唾液腺が大きくなって痛みを感じたり、味覚障害が起こることも。虫歯や歯周病になりやすいといった弊害も出てきます」 ほかにも皮膚、鼻、咽頭、気管、消化管、外陰部、腟などの粘膜が乾燥することがあるそう。 「気管が乾燥すると咳が出て、外陰部や腟が乾燥すると性交痛を起こすことがあります。 また、関節に炎症が起こったり、全身のリンパ節が腫れることがあり、シェーグレン症候群の患者はリンパ系のがんである悪性リンパ腫を合併することがあります。 こうしたドライアイやドライマウスの症状は更年期でも起こりますが、その判断は医師でも難しいのが現状です。ほかにホットフラッシュなどの更年期症状がなくて、こうした症状だけがある場合には、シェーグレン症候群を疑ってみることも必要です」