フランスで極右勝利なら債務危機、トラス氏の二の舞も-経済・財務相
(ブルームバーグ): フランスのルメール経済・財務相は、今月30日の第1回投票を経て7月7日に決選投票が実施される国民議会(下院、定数577)選挙について、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)が勝利し、同氏が提唱する経済プログラムが実行されれば、フランスは債務危機に陥ると警告した。
ルメール経済・財務相はフランス北部のかつての選挙区で開かれた集会で、(消費税に相当する)付加価値税(VAT)税率や退職年齢の引き下げなど、RNが過去に支持した政策には数千億ユーロの費用がかかると語った。
大型減税案などが財政不安を引き起こし、英国債とポンド相場の急落を招いたトラス前英政権にルメール氏は言及し、「フランスでは債務危機が起こり得る。トラス(前英首相)シナリオもあり得る」と指摘した。
マクロン大統領は9日、欧州連合(EU)の欧州議会選でRNが圧勝し、中道の与党連合が大敗したことを受け、国民議会を解散し、総選挙を実施すると発表した。
フランスの代表的な株価指標CAC40指数は1.3%安で11日の取引を終了し、過去2営業日の下落率は2.7%と1年ぶりの大きさとなった。 銀行株が下げる一方、フランスの10年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、ドイツ債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は2020年3月以降で最も拡大した。
RNのジョルダン・バルデラ党首(28)は11日遅く、国営のフランス2テレビとのインタビューで、同党が国民議会選で過半数を得る可能性に近づきつつあると述べ、中道右派・共和党の議員数十人がRNと協力することを期待していると発言した。
「安全保障と移民に関し、共和党を支持する有権者の多くがRNの支持者と同じ価値観を共有している」とバルデラ氏は語った。
共和党のシオティ党首もこれに先立ち、RNとの協力を訴えたが、すぐに辞任を求める声が上がるなど党内から反発を招いた。