「帝王」が去った「グリ下」のいま 生きづらさ抱える若者の「居場所」は秩序なき「カオス」に
■「グリ下」に通い続けた記者が少年・少女たちに伝えたいこと
浦野被告が逮捕された後にも「グリ下」に集まる少女が被害に遭う事件は多発している。 「グリ下」に集まる少女らに現金を渡し、性的暴行を加えた罪で男が起訴された事件や、「グリ下」で少女に声をかけ、ビルに住まわせて売春をさせたなどの罪で男らが起訴された事件などだ。 「グリ下」の取材を始めておよそ3年が経ったが、当初、家庭にも学校にも居場所がない若者が集まり、お互いが「傷をなめ合う場所」として、一定機能していたように感じていた。 もちろん、未成年が家出して、夜遅くまで繁華街にいるというのは危険なことで、「グリ下」には来ない方がいい。 ただ、「もし来なかったら、悩みを分かち合えずに自ら命を絶っていたかもしれない」。そういった思いを抱えていた若者は多く、「危険信号」を発信している若者の受け皿になっていたのは間違いないと思う。 しかし、時間が経つにつれ、そういった若者を利用する大人が現れ始めた。 結果、若者が被害者になり、時には加害者にもなる犯罪の温床になってしまった。 重大犯罪でなくても、身体に悪影響を及ぼす「OD」や喫煙、飲酒、パパ活…周りに流されて始めてしまう可能性があるのだ。 SNSで「グリ下」でワイワイしている映像が流れてきて、「楽しそう!」と興味を持つ子もいるかもしれないが、危険なことに巻き込まれる可能性があるので行かないでほしい。 行政や警察、民間の団体などで協議や支援が続けられているものの、「グリ下」が存在する限り、悪い大人は「グリ下」の若者を狙い続けるかもしれない。 頼れる人や居場所がない、生きづらさや悩みがある、そんな人には「グリ下」支援を続ける認定NPO法人「D×P」など相談できる団体がある 。 悩みや孤独を感じる少女たちが「グリ下」で待ち受ける悪い大人ではなく、良い大人との出会いを通じて、生きづらさを少しでも乗り越えられるよう願いたい。
【関西テレビ 大野雄斗記者】 2020年入社。大阪府警担当。 奈良担当、神戸支局を経て現在2度目の大阪府警担当。 「グリ下」ができてまもない頃から取材を続ける。 (関西テレビ 2024年11月9日)
関西テレビ
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