<甲子園交流試合・2020センバツ32校>創成館の強さ、全国に きょう対戦 翻弄された半年 「がむしゃらに1勝を」 /長崎
春のセンバツに出場予定だった32校を甲子園に招待する2020年甲子園高校野球交流試合(センバツ交流試合)に11日、創成館が登場し、平田(島根)と対戦する。新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された末、ようやく実現する夢舞台での1試合。ナインは「創成館の強さを見せつける」と意気込んでいる。試合開始は午後0時40分の予定。【中山敦貴】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 「残念やけど、中止や」。3月11日、諫早市の創成館グラウンド。練習を中断し、稙田(わさだ)龍生監督(56)が春のセンバツ中止が決まったことを伝えると、選手たちは人目をはばからず泣き崩れた。 創成館は昨秋の九州大会で4強入りし、2年ぶり4回目のセンバツ出場を決めた。だが、新型コロナの感染拡大の影響で大会は中止に。選手たちは失意に沈み、全体練習を一時中断した。 練習再開は約2週間後。「物語はここから始まる 最高の夏を全員で」と書かれた横断幕をグラウンドに掲げ、必死に気持ちを切り替えようとした。だが、追い打ちをかけるように5月、夏の全国高校野球選手権大会の中止が決定。甲子園の夢はついえたかに見えた。 突如、センバツ交流試合開催の吉報が飛び込んだのは6月10日だった。みたびグラウンドに集められた選手たちは「また悪い知らせか」(松尾力基選手)といぶかったが、稙田監督が「甲子園行きたいよね。今日決まったんや」と伝えると、「よっしゃあ」と笑顔の輪が広がった。創成館の“物語”がようやく始まった。 あっけない敗退だった。7月19日、夏の高校野球長崎大会に代わる県独自大会の2回戦。創成館は長崎西の好投手を打ちあぐね、スコアボードに「0」が並んだ。最終回にようやく田中雄大選手(3年)の適時打で1点を返したが、「反撃が遅すぎた」(田中選手)。結局1―2で敗れ、「独自大会で優勝して甲子園へ」という目標はかなわなかった。 上原祐士主将(3年)は「昨秋は『自分たちは弱い』という自覚があり、がむしゃらに立ち向かっていたが、センバツ交流試合の出場校に選ばれて受け身になってしまった」と振り返る。 敗戦後、ナインは悔しさを糧に、これまで以上に打撃練習に力を入れた。昨秋の九州大会で5割超の打率をたたき出した猿渡颯選手(3年)は打撃フォームを一新した。今月7日の長崎商との練習試合では好投手に13安打を浴びせて9―0で快勝し、手応えをつかんだ。 創成館は2018年のセンバツで8強に進出したが、同年夏の甲子園では初戦で創志学園(岡山)に0―7で完敗した。それだけに稙田監督は「創成館はやっぱり強いということを全国に示してほしい」と選手を鼓舞する。 センバツ交流試合は勝っても負けても1試合だけ。いつもの夏とは違うが、上原主将は「野球ができないもどかしさに腹が立った時期もあったが、多くの人の思いやりのおかげで甲子園で総決算の戦いができる。がむしゃらに1勝をもぎとって恩返ししたい」と力を込めた。 〔長崎版〕