2016年にエヌビディア株を買っていれば…多くの投資家が「爆アゲ個別株」を見落とすワケ
その当時、筆者はGeForceのメーカーがエヌビディアだとは知らなかった。もっとも、RadeonのメーカーがAMD(Advanced Micro Devices)であり、インテルと競合していることは知っていた。そこで今さらながら調べると、エヌビディアの株価は2015年頃からほぼ一本調子で上昇し、過去最高値の更新をしていた。しかもその後に急騰している。 新型コロナの少し前と、2022年の2回、エヌビディアは急落しているものの、2010年代初頭までの激しい値動きと比較すれば、「順調な急成長」と表現できる。 後講釈だが、2016年当時、アルファ碁の背景を多少なりとも知っていたのなら、少なくともエヌビディアとAMDとに分散投資していたかもしれない。ついでにインテルを加えたかもしれないが。 とはいえ、2022年当時でも遅くなかった。生成AIが頭角を現し始めていた段階である。一方のエヌビディアは当時、ゲーム用の需要に支えられていた。その需要が一巡し、10月に株価は一時108ドルまでに下がった。 これが最後の絶対的な買いチャンスだったことになる。しかし、108ドルまで下がったということは、急騰のわずか1年半前にもかかわらず、多くの投資家がエヌビディアを手放したことも意味している。 株式市場とはそんなものである。チャンスは常に転がっている。
● 医薬品業界で大きな注目を 集めるイーライリリーとは しかし、プロが多いにもかかわらず、そのチャンスは見逃される。多くのプロが短期的な要因を追い求めているからにすぎない。 長期の運用者に対して、それも経済の成長を信じ、株式の保有を増やしていく者に対して、株式は多くの利益をもたらすだろう。しかし、そのチャンスを一本釣りでものにするのは至難である。 チャンスを迎えていると思えるいくつかの企業を選び出し、その中の数社でもいいから分散して保有するにかぎる。そのうちの1社でもチャンスを結実させてくれれば、株式を保有する側も大きな成果を得る。 たとえ意に反してチャンスが幻だったとしても、その企業の株価はゼロにはならない。この事実をしっかりと思い出してほしい。 もう1社、エヌビディアほどではないが、医薬品業界で大きな注目を集めているイーライリリー(ティッカーコードは「LLY」)の株価推移を示しておく(下図)。 イーライリリーはインシュリンや抗生物質の製薬会社として知られてきた老舗である。日本においても100年以上前から活動していたから、著名企業である。東京証券取引所に上場していたこともある。 イーライリリーは長らく鳴かず飛ばずに近く、それが図にも表れている。