生理、LGBT問題、原爆…朝ドラ『虎に翼』数々のタブーにNHKが挑戦しなければならない本当の理由
「3つの理由」
生理、LGBT問題、原爆……などさまざまな社会問題をストーリーに織り込んでいることが話題となっている朝ドラ『虎に翼』。これまでの「朝ドラ」ではタブー視されていたテーマや事象にここまで果敢に挑んでいるのは、NHKならではの3つの理由があるという。その理由とはいったい何なのか? テレビ東京でドラマ・プロデューサーを務め、現在は桜美林大学芸術文化学群の教授である田淵俊彦氏がその訳を語る。 老け役もハマった石田ゆり子…白無地Tシャツにチノパンシンプルコーデで”アラフィフかわいい”姿 ◆女性にとって不利な制度に疑問を持ち…… NHKの「連続テレビ小説」、通称「朝ドラ」の通算110作目となる『虎に翼』は、「夜ドラ」の『恋せぬふたり』で向田邦子賞に輝いた吉田恵里香氏が、実話をもとにオリジナル脚本を書きおろした作品だ。 主人公は日本初の女性弁護士、判事、裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルにした猪爪寅子(いのつめともこ)。女性にとって不利な制度に疑問を持ち、当時は男性しか活躍することができなかった法律の世界に飛び込んでいく女性の人生を描いて多くの視聴者の共感を得、話題となっている。主演の伊藤沙莉は、’17年度上半期放送の『ひよっこ』以来2度目の朝ドラ出演で初主演。吉田氏は、朝ドラ初登板である。 ◆「同性愛」、「生理」のつらさ……朝ドラ初めての試み ドラマは終盤に差しかかり、結審に8年を要した「原爆裁判」が描かれるのと並行して、第21週(8月19~23日放送)は「夫婦別姓や事実婚」「同性婚やセクシュアリティー」、第22週(8月26~30日放送)は「女性の社会進出」というテーマがドラマに織り込まれた。 朝ドラで同性愛を描いたのは初めてのことだ。寅子の大学時代の同級生であり弁護士の轟太一(戸塚純貴)が、同じく同級生で裁判官だった花岡悟(岩田剛典)への愛を吐露するシーンである。 寅子が重い生理痛に悩まされるという場面では、女性にとっての「生理」のつらさを強調した。この試みも初めてのことだ。 NHKの広報部によると「『生理』に関わる諸問題や情報などをお伝えしていくことは、誰もが生きやすく、多様な生き方が認められる社会実現にとって大切なことの一つと考えています」とのこと。 ◆NHKだからこそ……背負わなければならない〝特別な〟理由 このように『虎に翼』は、これまでの朝ドラでは「タブー」視されてきた題材にも果敢に挑んでいる。もちろん、この理由としては朝ドラ初登板である脚本の吉田氏の意向によるものが大きいだろう。しかし、そこには〝NHKだからこそ〟背負わなければならない〝特別な〟理由も隠されている。