【社説】朝鮮半島の安保のために、韓国は「中国レバレッジ」を積極活用すべき
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と中国の習近平国家主席が2年ぶりに首脳会談をおこなった。両首脳は15日(現地時間)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機にペルーのリマで行われた韓中首脳会談で、「域内の平和と繁栄に共に寄与することで一致していこう」と述べ、訪韓と訪中を提案し合った。北朝鮮とロシアの軍事協力、米国の「トランプ第2次政権」発足など、急変する国際情勢の中、韓国は朝鮮半島の平和のために「中国レバレッジ」を積極的に活用する高度な外交戦略が切実に求められている。政府には、これまでの対立構図を脱し、国益重視の「実利外交」の観点から対中関係を解決していってもらいたい。 この日の首脳会談で尹大統領は、「北朝鮮の持続的な大陸間弾道ミサイル(ICBM)と軍事挑発、ロシアとの軍事協力に対して、朝鮮半島域内の不安定を引き起こす行動であるため、中国の建設的な役割」を求めた。これに対して習主席は、「中国も域内情勢の緩和を希望しており、朝鮮半島の緊張は望まない。当事者が対話と交渉を通じて問題を平和的に解決することを希望する」と答えた。このように、北朝鮮とロシアの軍事協力について、韓国と中国に温度差があるのは確かだ。しかし、朝鮮半島の緊張の高まりを望んでいないのは中国も同じだ。また、トランプの復帰と、それに伴う「関税爆弾」とデカップリングの脅威の中、中国も韓国との協力の必要性を感じざるを得ない。このような状況を積極的に活用して接点を増やしていく必要がある。 尹錫悦政権は発足以降、「価値観外交」を掲げて過度に韓米日一辺倒の戦略を追求してきた。世界的な新冷戦構図とあいまって、「韓米日」対「朝中ロ」の対立の先兵役を自任してきたわけだ。朝鮮半島の安保のためには、韓国は米国に依存せざるを得ないのは言うまでもない。しかし、その過程で起こり得る中国、ロシアなどの周辺国との関係悪化が現実のものとならないよう、バランスを取ることこそ政府の役割だ。尹錫悦政権はその役割を果たしてこなかった。また、この過程で南北関係はこれ以上ないほど険悪になっている。 こうした状況で「トランプ2期目」を控えた尹錫悦政権は、これまでの外交基調を全面的に見直すべきだ。韓国は、トランプ2期目で予想される米国の対中圧力状況を、むしろ韓中関係改善の契機とする妙を発揮しなければならない。トランプ政権は、中国に対する圧力への同調を韓国に求めてくる可能性が高い。その対策も立てなければならないだろう。朝鮮半島の安保のためにも「中国レバレッジ」を積極的に活用して、外交的難局を打開していかなければならない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )