岐路に立つ「新しい働き方」、2025年に向けて考えるべき未来
2025年が近づく中、企業は重要な岐路に立たされている。新しい働き方を取り入れて成長するのか、それとも新たな課題に直面して停滞するのかという選択である。ここ数年はまるでジェットコースターのようだった。未来に向けて急上昇したかと思えば、解雇、燃え尽き症候群、そして幻滅という冷たい現実と共に急降下した。そして底を打ったかのように見えた先に、わずかながらも回復の兆しが現れている。 この回復が企業を前進させるのか、それともさらなる停滞に繋がるのかは、これからの重要な選択にどう対処するかにかかっている。本稿では、働き方の未来に関するリスクと機会についての私たちの予測を示す。 ■1. 条件付きEX EX(Employee experience、従業員体験。従業員が企業や組織の中で体験する経験価値のこと)の冬を経て、多くの企業がEXへの取り組みを再開しているが、それは持続可能な職場文化の基盤としてではなく、従業員に対する「ニンジン」としての狭い定義に従ったものだ。この「条件付きEX」アプローチ、つまり経営陣が成果を確認してから初めて従業員エンゲージメントの改善を約束するというやり方は、短期的なギャンブルに過ぎない。私たちは、目標達成時のトロフィーや、その場しのぎのギフトカード、さらには優待旅行といったインセンティブが増加すると予測している。しかし、その華やかな表面の下には、時間と共に広がる亀裂が隠れている。 ■2. オフィス回帰を巡る戦い オフィス回帰の方針を巡る戦いが予想外の形で激化しようとしている。アマゾンが週5日のオフィス勤務を義務付けたことを受けて、同様の取り組みを模倣しようとするCEOたちが現れている。しかし、このアプローチが通用するのは、アマゾンやJPモルガン・チェースのような一部の巨大企業だけである。それらの企業は、離職が増えても構わないと考えているかもしれないが、ほとんどの企業にとって、こうした方針の強行は静かな抵抗、離職率の上昇、生産性の低下を招く危険性がある。 多くのCEOが受け入れるべき現実は、米国においてはハイブリッドワークが定着しているということである。2024年にはすでに43%の労働者がハイブリッド勤務をしており、その割合は今後も増加する見込みだ。この潮流に逆らう企業は、採用や人材の維持で遅れをとることになるだろう。この現実を無視するならば、2026年には誰が成功し、誰が失敗するかは明らかだ。