「このままではクビになる」大敗続いた22歳ガールズケイリン選手が“負の連鎖”断ち切り覚醒「もう簡単には負けられない」
ルーキーシリーズVは「ラッキー」
1年間の養成所生活を経て、2022年5月の松戸ルーキーシリーズでデビュー。決勝3着と好スタートを決めた。続く2戦目は地元松山だったが決勝に進めず。3戦目の大宮決勝は最終バック7番手から大外を踏み込んで初優勝をつかみとった。 「まさか優勝できるとは思っていなかった。決勝は流れ込み。ラッキーですよ(笑)。他の選手がモガキ合って展開が向いただけでした」 2か月の助走期間を終えると、いよいよ本格デビューだ。先輩レーサーたちとのマッチアップが始まった。
本デビュー後は大敗続きで“負の連鎖”へ
迎えた7月高松の本デビュー戦。渡部は何もさせてもらえなかった。最終日の一般戦では車券に絡むことができたが、ルーキーシリーズ優勝を引っ提げ本デビューした渡部にとってはほろ苦いデビューシリーズとなってしまった。 その後も果敢に先輩たちの高い壁に挑んでいったが、阻まれ続け大敗が続いた。競走得点が落ちるとガールズケイリンのデッドラインと言われる47点を意識せざるを得なくなる。クビがちらつき、仕掛ける勇気を失ってしまうという負のスパイラルに陥ってしまった。 「最初は自力で頑張っていたけど、成績がどんどん落ちていってしまった。自分で動く自信がなくなり、どう走ればいいか分からず、気が付いたら隊列の一番後ろにいる…。そんな状態でいい成績は残せないですよね」 なんとか9月の平塚で本デビュー後の初勝利と初決勝進出を決めたが、波には乗れず。浮上のきっかけはつかめぬまま、デビュー1年目は終了した。苦しい戦いを経ても、渡部は自力で戦うことにこだわりを持っていた。 「ガールズケイリンを目指したときから自力選手がカッコいいと思っていました。今トップで戦っている選手はみんな自力があります。競輪好きの父からも『自力で動きなさい』と言われてきました」 養成所で見た2021年の静岡ガールズグランプリも、渡部に大きな影響を与えた。 「高木真備さんが自分で動いて優勝を勝ち取ったグランプリです。あの感動は忘れられません」