オヤジたちの深堀りTALK 昭和ドロップ 第5回「巨人キラー対広島キラー」
現役時代、定岡正二さんは“広島キラー”、川口和久さんは“巨人キラー”で鳴らした。果たして、2チームを恐怖のどん底に落とした、投球術の秘密とは(編集部注:今回はそこまで大げさな話ではありません)。 構成=井口英規 ──では、今回がお二人の『昭和ドロップ』のシリーズ2の最終回です。 川口 最後のテーマは何? ──巨人キラー対広島キラーです。 川口 ゴジラ対モスラみたいだ(笑)。ちなみに俺が巨人キラーです。 定岡 カワはジャイアンツ戦に一番勝っているの? 川口 いえ、巨人が33勝で、阪神が36勝です。通算139勝ですから、この2チームには、ほんとお世話になっています(笑)。 定岡 派手なチームに強いね(笑)。 川口 確かに派手好きかもしれないです(笑)。監督の古葉(古葉竹識)さんからは「お前は気が抜けることがあるから、緊張した試合のほうが力を出せる」と言われ、ローテーションは自然と、お客さんが多く、当時、カープが毎年のように優勝争いをしていた巨人戦を中心に組まれていました。実際、巨人戦になると燃えましたしね。全国中継だし、ガキのころから巨人ファンでしたからなおさらです。当時は中6日なんて規則はないから、中4日で阪神戦の後、中3日で巨人戦もありました。 ──今も規則はありません(笑)。 川口 そうだっけ、罰金があるからみんなしないのかと思っていた(笑)。でも、俺は間隔を空けるとダメなほうだったので、そっちのほうがよかったけどね。 ──一方、定岡さんの得意チームはもちろん……。 定岡 ご存じのとおりカープ(笑)。僕が得意というより、相手が勝手にそう思っていただけだけど、そうなったら強いですよね。年間3つ以上かな。そのくらい勝つと、相手がイヤがってくれる。見ていて、打席でイヤだなって顔をする回数が多くなってくると、もうこっちのもんと思っていました。 川口 当時のカープ打線はかなり強力でしたが、抑えるコツは。 定岡 キヌ(衣笠祥雄)さんも浩二(山本浩二)さんも、どんどん振ってきたけど、僕はいつも真ん中勝負だった。外なんか狙わない。ド真ん中だし、僕は150キロの球があるわけじゃないから、打者は踏み込んで、「おいしい球をありがとう」みたいな顔して打ちにくるけど、そこから少し曲げ、芯を何ミリか外せばフライになったり、ゴロになったりする。しかも、打者は「なんでこんな甘い球を打てないのか」って顔をして、次の打席も同じように振ってくるでしょ。コースを狙うよりも真ん中から散らすほうが有効だなと分かってから勝てるようになったね。 川口 コースを狙い過ぎると、球数が多くなったり、フォアボールで野手のリズムが狂いますしね。僕は狙い過ぎなくてもフォアボールが多かったけど(笑)。 ──定岡さん、カープは機動力野球も売りでした。俊足の高橋慶彦さんとか一、二番バッターを出さないように考えましたか。 定岡 もちろん。ただ僕は・・・
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週刊ベースボール