反対署名が1万2000筆超…なぜ悠仁さまの「東大推薦入学説」に逆風が吹くのか 専門家が明かす「学習院の特別扱い」との決定的な違い
簡単には消えない伝統
デイリー新潮も2021年10月25日、「眞子さまがICUではなく学習院大に通われていたなら…日本人の皇室観の揺らぎと密接に関係する問題」との記事を配信した。 記事では皇室ジャーナリストの神田秀一氏が取材に応じ、「皇族が学習院大学に進学する意味と価値」について分かりやすい解説を行っている。そしてICUを東大に置き換えると、悠仁さまの問題とぴったり合致するのだ。 しかも神田氏は2006年から15年まで学習院女子大学の非常勤講師を務めていた。皇室記者として“外から見た学習院”だけでなく、内側も把握していたわけだ。それでは記事から、神田氏の指摘をご紹介しよう。 《「改めて申し上げますと、今の学習院は皇族や華族の教育機関ではありません。出願して入試に合格すれば、誰でも入学できます。ただ、私が勤務をスタートさせた時、関係者から『1868年の東京遷都から150年以上が経過しましたが、依然として京都には天皇家がお住まいになっておられた雰囲気が残っていると思います』と言われました。学習院は戦後、一般に開かれたとはいえ、かつての伝統はそう簡単には消えないというわけです」》 神田氏は「学習院の伝統」を様々な場面で感じ取ったというが、特に印象に残っているのは警備面だという。
「学習院なら起きない不祥事」
《「学習院大学も学習院女子大学も、キャンパスを歩くと『あそこなら私服の警察官が隠れやすいだろうな』という場所がいくつもありました。実際、不審者の情報共有などは徹底していました。皇族が通われたことで対応策が構築され、そのノウハウの積み重ねが、一般の学生を守るために活用されていました」》(同・神田氏) 学習院大学は危機管理の意識が高い。この一言に尽きるだろう。担当記者のコメントをご紹介する。 《「警察関係者に取材したことがあるのですが、学習院大学のキャンパスはSPの導線が確保されているなど、警備に配慮した設計になっているそうです。一方、19年5月、悠仁さまが通われるお茶の水女子大附属中学校に男が侵入し、悠仁さまの机に刃物を置くという事件が発生しました。発生当初から『学習院なら起きない不祥事』と言われていました」》 警備という観点からも悠仁さまのお名前が出てくるのは非常に興味深い。それでは再び神田氏の指摘に戻ろう。 《「今の学習院大学に皇族の方は通われておりません。しかし、上皇さまや天皇陛下が学ばれた記憶を持つ職員は健在ですし、そのことについては教授も学生に、ことあるごとに言及しています。伝統は簡単に消えないだけでなく、学習院の中で伝統を残していこうという意識も高いのです」》(同・神田氏)
伝統の力
神田氏は記者として、学習院の初等科を取材した経験も持つ。その際、在学中の皇族への対応が強く印象に残ったという。 《「皇族の方が登校されると、さりげない雰囲気ではあるのですが、校長や教頭がお出迎えに出るのです。普通の児童には、そのような“特別待遇”は行われませんでした。これ見よがしのVIP待遇ではないものの、全ての児童を平等に扱うわけでもないことが垣間見えました。そのさじ加減というのが絶妙で、『なるほどこれが伝統の力か』と感心したことがあります」》 伝統を守っていただきたいという国民の願いは聞き入れられるのだろうか──? デイリー新潮編集部
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