ダムの上を通り抜ける「世にも珍しい酷道」…三重―大阪間を結ぶ名阪“じゃない”国道25号を走破してみた
三重県四日市市を起点に大阪府大阪市までを結ぶ“国道25号”のうち、三重県亀山市~奈良県天理市間には73.2kmのバイパスが建設され、下道であるにもかかわらずまるで高速道路のような自動車専用道となっている。“名阪国道”として有名な道路だ。名阪国道の前後の区間を高速道路に乗ったとしても、並行する東名高速道路、新東名高速道路に比べて半値以下で利用できるため、利用者も多い。 【画像】ダムの上を通り抜ける「世にも珍しい酷道」…三重―大阪間を結ぶ名阪“じゃない”国道25号のハードな道を写真で一気に見る また、名阪国道沿いには複数のドライブインが点在しており、その多くは昭和のまま時間が止まったままのようで、名阪国道の大きな魅力の一つといえるだろう。 しかし、1965年の建設から年月が経過していることや、わずか1000日間での建設を目標に掲げられていたこともあり、現在の高速道路と比べると見劣りする部分も目立つ。 本線に合流する際の加速車線の距離が極端に短いことや、急カーブや急こう配が多く、事故も多発しているのだ。無料というメリットは非常に大きいが、名阪国道は全国で最も死亡事故率が高い自動車専用道であり、走行には注意が必要だ。
「国道25号」と並行するもう1本の「国道25号」
そんな名阪国道が含まれる国道25号の地図を改めて見てみる。すると、名阪国道と並行してもう1本、国道25号が伸びていることに気づくだろう。 高規格な自動車専用道である名阪国道に対して、もう1本の国道25号は、山間部を縫うようにして走っている。名阪国道が完成する以前から存在していた旧道が、現在も国道に指定されているのだ。 通常、バイパスが完成すると旧道は国道指定を外され、県道等に格下げされるか、廃道になることが多い。しかし、名阪国道は自動車専用道路のため、自転車や歩行者等は通行することができない。そのため、国道として自転車や歩行者等の往来を確保するため、旧道も国道指定が残されているものと思われる。
国道なのに状態が酷い“酷道”
同じ国道25号が2本並行して存在しているだけでも珍しいが、一方は全線4車線の高規格自動車専用道路なのに対して、もう一方の国道25号は2車線もなく、対向車とすれ違うのにも苦労するような区間が多い。国道なのに状態が酷い道、いわゆる“酷道”である。 国道は日本で最上位の道路であり、整備が行き届いた立派な道路をイメージする人が多いだろう。しかし、そのイメージとは裏腹に道幅が狭く、運転するだけで危険を感じるような国道も存在する。そんな国道のことを、親しみを込めて“酷道”と呼んでいる。酷道は、ただ単に状態が酷い国道というだけではなく、時代に取り残されてしまった寂しさや、その地域の歴史や文化まで感じ取ることが出来る。そんな酷道に魅力を感じた私は、ライフワークとして全国の酷道を巡っている。 私は名阪国道をよく利用するが、当然、名阪国道ではないほうの国道25号を走ることもある。2つの国道25号を区別するため、名阪国道ではないほうの酷道を“非名阪”と呼んでいる。名阪国道も昭和の残渣が感じられる素敵な道だが、非名阪にもまた、多くの魅力が詰まっているのだ。 そんな非名阪を走るべく、三重県四日市市の起点から車を走らせる。 しばらくは国道1号と重複し、2車線の快適な道路が続く。亀山市の東海道関宿を過ぎたあたりで左折し、国道25号の単独区間に入る。 するとほどなくセンターラインが消え、いよいよ酷道らしくなってきた。
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