ダムの上を通り抜ける「世にも珍しい酷道」…三重―大阪間を結ぶ名阪“じゃない”国道25号を走破してみた
時代を感じさせる遺産群の数々
加太を過ぎ、JR関西本線の下をくぐるトンネルのような箇所があるのだが、これがまたカッコいい。レンガと石積みで強固に造られており、時代を感じさせる。 道から見ればトンネルだが、これはあくまでも鉄道の施設。上を走る鉄道からすれば橋ということになる。正式名称を大和街道架道橋といい、JR関西本線の前身となる関西(かんせい)鉄道が敷設された1890年(明治23年)に建設された。 上を走る鉄道は明治時代の開業だが、その下をゆく国道25号は奈良時代に整備された大和街道を踏襲している。大和街道架道橋は、歴史の深い道路と鉄道が交錯する場所なのだ。当時は意匠性も考慮され、凝ったデザインとなっている。それもまた、カッコいいと感じた要因だ。 非名阪の沿道には、大和街道架道橋のほかにも関西本線の鉄道遺産群が多数あるので、立ち寄ってみても楽しいだろう。 非名阪は伊賀上野市街で2車線道路となるが、山間部に入ると再び酷道と化す。緩やかな酷道を走っていると、立派な橋が見えてきた。名阪国道のIC名にもなっている五月橋だ。五月橋で名張川を越えると、三重県から奈良県へ入る。 現在の五月橋は2020年に架け替えられたばかりで、それ以前は、1928年(昭和3年)に竣工した旧五月橋が利用されていた。架橋から90年以上が経過し、老朽化が激しく耐震基準を満たさないことから、現在の橋に架け替えられた。旧五月橋は意匠にもこだわり、戦前の橋らしい風格があったが、残念ながら2021年に解体撤去されてしまった。 昔の橋やトンネルがカッコよく見えるのは、技術的な要因もさることながら、デザインによるところが大きいように思える。現在は、橋の袂に旧五月橋の親柱だけがポツンと残されている。 この先、名阪国道の下を何度かくぐって交差すると、名阪国道と並走する区間も現れる。 双方の国道25号を眺めることはできる区間は、意外と少ない。名阪国道と非名阪、どちらも同じ国道25号だが、こうも違うものかと改めて驚かされる。
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