退職後の人生。退職後のライフプランはまず気持ちの整理をしてから、どうすればいいかを考えるようにしよう!
退職後のライフステージでは、「どのような最期を迎えたいか」という想いを言語化しておく
退職後のライフプランを考える際、最も重要なのは「どのような価値観の下で死を迎えるか」ということです。端的にいえば、退職後どのように生き、どのように死にたいかを、ある程度イメージするということです。このような考え方は「死生観」や「人生観」といえますが、これらをある程度言葉として表現(言語化)し、意識します。 例えば、「人生の最期(生物学的な死)は、自宅で家族に見守られながら終えたい」と考えるとします。このような想いはその人の家族観に根差すものですが、心理的には「孤独や不安のなかで死ぬのは嫌だ」という感情の表れかもしれません。 また、「家族には迷惑をかけたくないから、人生の最期は病院や介護施設で迎えたい」と考える人もいるでしょう。このような想いも自らの家族観から来ていると考えられます。心理的には、「家族に対して心配をかけたくない」という気持ちと、「本当は、最期を看取ってほしい」という気持ちが入り交じっているのかもしれません。 人の想いは人の数だけあります。価値観は、ある意味、感情にも基づくため、気持ちの整理も含め、どのような価値観をもとに死を迎えるかをあらかじめ想像しておくことは、非常に大切なことといえます。
人生の最期から逆算して、退職準備期の今、退職後に何をすべきかを考える
退職後のライフステージに通底する価値観をある程度意識することで、どのような人生設計(ライフプラン)を描くかを、初めて想像することができます。例えば前述したような「人生の最期は、自宅で家族に見守られながら終えたい」という想いがある場合、ゴールから逆算して、今は何をすればよいかが少しずつ見えるようになります。 例えば、自宅で家族に見守られながら最期を迎えたいわけですから、残りの人生を過ごす環境(住環境)は自宅です。それならば、相続後は自宅を子どもに残すかどうかなどの対策が必要になりますし、生前の医療や介護といった健康面では、訪問医療や訪問介護、デイサービスなどを活用することが考えられるでしょう。 また、介護が必要になったときのことを想定し、手すりを付けたり、ドアを引き戸にしたりするといった、自宅をバリアフリーにするためのリフォーム工事をあらかじめ行っておく、などの対策も講じられます。 さらに「このようなことが必要になるかもしれない」と考えた場合、家計にどのような工夫をすればよいかも見えてきます。自宅の相続に備えるうえでは、資産全体の把握や管理を行う必要があるでしょうし、医療や介護などの費用がかさむ場合に備えるために定年退職後も働いたほうがよいと思うかもしれません。 このような想定は、自分がそれまでの人生経験で獲得した知識(情報)によってもたらされます。書籍を読んだり、専門家などに相談したりすることで知識(情報)量が増し、どのような対策を講じればよいかが分かるようになります。