ホンダの新型SUV「CR-V e:FCEV」、水素で走る燃料電池車を感じさせない普通さ。最先端と現実味のバランス
加えて、荷室内には、CHAdeMO(チャデモ)方式のDC給電コネクターも設置。ホンダ製の「パワーエクスポーターイー6000」「パワーエクスポーター9000」といった可搬型外部給電機を接続すれば、一般家庭の約4日分の電力も供給可能。災害時の非常用電源から屋内イベントまで、さまざまな用途に活用できる。 CR-V e:FCEVの価格(税込み)は809万4900円。企業ならまだしも、個人で購入するには、かなり高価だ。ただし、国や地方自治体の補助金を使えば、個人購入でも、約半額程度になる場合もある。
例えば、「令和5年(2023年)度補正 CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」では、CR-V e:FCEVに対する補助金額は255万円(2024年11月13日現在)。それに、東京都在住であれば、「東京都ZEV補助金」も使える。令和6年(2024年)度の補助金額は、FCEVの場合、事業者・個人のいずれも110万円。さらに、充放電設備(V2BやV2H)の設置など、ほかにも上乗せになる条件をいくつかクリアすれば、補助金額は最大で計145万円となる。つまり、東京都に住むユーザーの場合で、CEV補助金+東京都ZEV補助金をフル活用すれば「255万円+145万円=400万円」となるのだ。
そして、これらが実現すれば、809万4900円(CR-V e:FCEV価格)-400万円(補助金合計額)=409万4900円となり、400万円ちょっとで買える計算になる。 ■補助金次第ではZR-Vと差はない ちなみに、ホンダのSUVでは、CR-V e:FCEVの次に高い「ZR-V」の税込み価格帯は320万8700円~450万6700円。例えば、中級グレード「Z」のガソリン車4WDが402万8200円だから、同様の価格帯でCR-V e:FCEVを購入できることになる。
ただし、補助金の場合、予算がなくなれば終了してしまうので、いつでも利用できる訳ではない。また、CR-V e:FCEVは、個人・法人を問わずリース販売のみなので、買い切りはできない。例えば、5年後など、リース契約が終了すると車両を返却しなければならないため、長く乗り続けたいユーザーには不向きだといえる。 そして、一番の問題は、水素を補充する水素ステーションの数だ。次世代自動車振興センターの調べによると、2024年9月11日現在、国内に設置されている水素ステーションは、全国で157カ所。水素ステーションは整備が始まったばかりで、その数はまだ限られており、FCEVを普及させるには、まだまだインフラの拡充が必要だ。