ホンダの新型SUV「CR-V e:FCEV」、水素で走る燃料電池車を感じさせない普通さ。最先端と現実味のバランス
とくにCR-V e:FCEVのACCで感じたのは、前車の速度が落ちた場合、設定車間を保持するための減速がゆるやかで、とても自然な感じの追従だったことだ。また、前車が停車後に再発進し、自車が再び追従を開始する際も、急激な加速などもほぼない。ACC作動時に、より多くのシーンで、アクセルやブレーキの操作を安心してシステムに任せておける感じだった。こうした機能は、高速道路だけでなく、一般道でも渋滞時に効果を発揮するだけに、日常の走行から休日のレジャーまで、幅広い状況下で、ドライバーの疲労軽減につながることが予想できる。
CR-V e:FCEVのラゲッジスペースは、2つ搭載する水素タンクのうち、後方搭載ぶんが出っ張りとなっているため、その部分は荷物の積載はできない。ただし、荷室をアレンジできるフレキシブルボードを標準装備することで、上段を荷室後端までフラットにすることが可能だ。また、フレキシブルボードを下段に置けば、高さのある荷物や重い荷物を積むこともできる。 なお、これもホンダ開発者の話だが、北米では、「CR-V e:FCEVの荷室にマウンテンバイクを積載し、アウトドアスポーツを楽しむユーザーもいる」のだという。ちなみに、このモデルの前に販売されたセダンタイプのクラリティ フューエルセルは、荷室が狭いため、自転車などの積載は無理だった。CR-V e:FCEVは、SUVタイプとしたことで、セダンタイプより荷室に余裕があるのだ。しかもCR-V FCEVは、水素の一充填当たりの航続距離が長いため、アウトドアのレジャーにも十分に使える。こうした点も、CR-V e:FCEVは、都市部の移動だけでなく、遠方のドライブを楽しむユーザーにも最適であるといえるだろう。
■充電・給電に対応したプラグイン機能 CR-V e:FCEVは、ほかにも、日本の自動車メーカーが発売するFCEVモデルとして初めて(2024年7月時点/ホンダ調べ)、外部から充電可能なプラグイン機能を採用していることもトピックだ。左フロントフェンダー内にAC充給電口を設置し、バッテリーの普通充電を可能とする(6.4kWで満充電は約2.5時間)。 また、標準装備のAC車外給電用コネクター「ホンダ パワーサプライコネクター(Honda Power Supply Connector)」を普通充電口に差し込めば、1500Wまでの家電製品などを使用できる。アウトドアなどのレジャーはもちろん、停電時の電源として活用できるのだ。