「三菱の名を汚すような相手に会社は渡すわけにいかない」同窓会と化した「三菱金曜会」に残された役割
■50年前の金曜会では「オイルショックの予言」があった つまり、結成当初はグループでの共同事業を推進する上で欠かせない会合だったが、現在では単なる「同窓会」化しているということだろう。しかし、1970年代、平時の「三菱金曜会」はつまらない会合だったが、経営を左右するほどの情報を入手することが出来たという証言がある。 1973年9月の「三菱金曜会」定例会の席上において、三菱商事会長・藤野忠次郎(ふじのちゅうじろう)が1カ月後のオイルショックを予言。 「グループ内のあるトップは、『今まで何回か金曜会の例会に出席したが、正直言ってつまらない話が多かった。しかしこんどの藤野予言で、やっぱり出ていてよかったと思った』と感激をもらしていた」(『三菱商事を変革した男・藤野忠次郎』)。 だから、やめられないのかもしれないし、そうした恩恵にあずかることがないまま、社長を退任していったメンバーがいるのかもしれない。 ---------- 菊地 浩之(きくち・ひろゆき) 経営史学者・系図研究者 1963年北海道生まれ。國學院大學経済学部を卒業後、ソフトウェア会社に入社。勤務の傍ら、論文・著作を発表。専門は企業集団、企業系列の研究。2005~06年、明治学院大学経済学部非常勤講師を兼務。06年、國學院大學博士(経済学)号を取得。著書に『企業集団の形成と解体』(日本経済評論社)、『日本の地方財閥30家』(平凡社新書)、『最新版 日本の15大財閥』『織田家臣団の系図』『豊臣家臣団の系図』『徳川家臣団の系図』(角川新書)、『三菱グループの研究』(洋泉社歴史新書)など多数。 ----------
経営史学者・系図研究者 菊地 浩之