【デーブ大久保コラム】個々の能力が高い巨人の野手陣。結束できればいい結果になるはずです
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 今年の巨人は投手陣が頑張っています。チーム防御率はリーグ3位ですが、それでも2.40(6月9日時点)と非常にいいです。広島と阪神の投手陣がそれ以上にいいだけの話で、通常であれば、リーグ1位をぶっちぎりで走ってもいいほどの出来です。 【プロ野球】2024年シーズン順位表 現在(6月9日)は貯金2の3位にいます。でも気分的にいい位置にいるな、とは思っていないはずです。貯金10くらいあって初めて首位に立っているな、という気分になります。今季そういう気持ちでいるのはソフトバンクのみだと思います。しかも1位・広島と2位・阪神の差がほとんどありません。 今季も強いと予想されていた阪神。それがなかなか思うような勝ちができず、周りから見ても苦しんでいるなあ、と感じるくらいです。それなのに貯金があるんです。やはり実力のあるチームだし、今後要注意をしないといけない、という嫌な雰囲気を醸し出しています。 その中で巨人は……打撃陣の打率が低いのは気になりますが、作戦は阿部慎之助監督らしい采配だと思っています。セオリーどおりと言うと語弊がありますが、ここはこうしたほうが相手が嫌がるだろうというサインを出しています。さすが捕手出身だな、とも思います。 そのサインに野手陣もしっかりと応えています。これはやはり、昨年までの原(原辰徳)前監督が選手たちを育ててきた上での結果かな、と思うんです。昨年、私も原前監督と阿部ヘッドコーチの下で1年間現場にいました。「ここでこのサインを出せば、スムーズに流れをつかめるのにな」というところで、そのまま打たせてゲッツーになったりしていました。最初は「なぜ?」と思っていましたが、原さんの中では、次の監督への引き渡しのために、選手たちに経験を積ませるという意味があったんです。 その選手たちが、新監督になり、そのサインに応えられるようになっている、だからこそ順位的には優勝を狙える位置で戦えているのだと思います。それでもチーム打率は.232(リーグ5位)と低い。そこが解消されれば、投手陣がいいだけに抜け出せると思います。 一つの提案として、ミーティングで監督の方針を打撃コーチとスコアラーでしっかり練り合わせをして、明確な言葉で選手たちに伝えコミュニケーションを取っていくことが大事だろうと思います。巨人の選手は、本当に能力の高い選手が多い。そのために人の意見をあまり聞かないというか、独自のスタイルがあると思ってしまうんです。 そこは1日10分でいいのでコミュニケーションを取って、試合の中での、その打者の役割を明確にしてあげることだと思います。それが明確であれば、能力の高い打者が多いだけに、打線は機能していくのだと思います。今年は投手陣がいいからこそ、試合に勝つためのチーム打撃もできる。そこに期待しています。 『週刊ベースボール』2024年6月24日号(2024年6月12日発売)より
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