「手根管症候群」の初期症状はご存じですか? 原因や手術の流れも医師が解説!
手根管症候群の手術の流れ
編集部: 手術の流れを教えてください。 山﨑先生: まず、手術前に神経が圧迫されている場所や程度を評価するための「神経伝導速度検査」や「精密知覚機能検査」をおこないます。 編集部: 検査を受けた後は、いよいよ手術ですか? 山﨑先生: はい、手術時間は15分程度です。手術当日、患部がお湯に浸かるような入浴はNGです。ただし、傷口を濡らさないようなシャワー浴は可能ですし、そのほかについてもある程度通常通りの生活ができます。 編集部: 術後は通院するのですか? 山﨑先生: 手術の翌日、もしくは2日後に外来で術後の症状について診察します。抜糸までの1~2週間は、患部を水に濡らさないように注意してください。また、医療機関にもよりますが、例えば当院のように理学療法士が在中しているところでは、手術翌日もしくは2日後から指のストレッチやマッサージなどのリハビリテーションが始まります。 編集部: 手術費用の目安についても知りたいです。 山﨑先生: 鏡視下での手根管開放術の場合、3割負担で約3万円、1割負担で約1万円となります。 内視鏡を用いない手術であれば、もう少し安くなります。また、いずれも検査や投薬による費用が追加されます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 山﨑先生: 手根管症候群の初期症状は軽いしびれですが、徐々に重症化していくことが多く、重症化すると手術をしても治らなくなるリスクが出てきます。特につまみにくさなど指の動きの障害が出ている場合、症状が残る可能性もあるので、早めの受診をおすすめします。手術は日帰りで受けることができます。
編集部まとめ
手や指のしびれや動かしにくさは、日常生活に大きな影響を及ぼします。女性ホルモンの乱れや手首の使いすぎなどによって起こる手根管症候群は、早期に治療することで症状の改善が期待できます。紹介した症状で困っているのであれば、我慢せずに一度近くの整形外科に相談してみてはいかがでしょうか。
監修医師:
山﨑 厚郎 先生(くらげ整形外科) 金沢大学医学部医学科(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業。その後、千葉県がんセンター、千葉県こども病院、成田赤十字病院、聖隷佐倉市民病院、千葉市立青葉病院、君津中央病院などで勤務医として経験を積む。2020年、千葉県千葉市花見川区に「くらげ整形外科」を開院。「安心してうけられる、当たり前の医療」をモットーに、日々より良い医療の提供に邁進している。医学博士。日本手外科学会認定手外科専門医、日本整形外科学会認定専門医。日本肘関節学会会員。