中邑真輔が武道館で佐々木憂流迦に貫禄勝利「粉々の恥ずかしい自分のかけらをかき集めて作ってみろ」
中邑「素の自分で来いって言っただろ? 裸で来いってことですよ」
プロレスリング・ノアは1月1日、新年恒例の『“THE NEW YEAR” 2025』を東京・日本武道館で開催した。観衆5,088人が集まり、華々しいスタートを切った大会の中でも、特に注目を集めたのがWWE US王者・中邑真輔と佐々木憂流迦のスペシャルシングルマッチであった。 【動画】中邑真輔が佐々木憂流迦へ辛らつなコメント 『“THE NEW YEAR” 2025』 日程:2025年1月1日(水)開始16:00 開場14:30 会場:東京・日本武道館 観衆:5,088人 中邑真輔の入場は圧巻であった。和太鼓の音色とホラ貝が響く中、甲冑をまとった姿で現れると、武道館の空気を一変させた。甲冑を脱ぎ捨て、白装束と黒いペイントで装った姿は、WWEで培ったスタイルそのものであり、その存在感を日本の観客に再認識させるものだった。 試合開始直後、中邑は持ち前の打撃を駆使して主導権を握った。場外戦に持ち込むと、ミドルキックや膝蹴りで佐々木を圧倒。だが、佐々木も負けじとスリーパーや三角絞めで反撃に出た。 実力者同士の攻防は観客を魅了したが、試合の流れを決定づけたのは中邑が放った黒い毒霧であった。予想外の一手に佐々木は防戦を強いられ、後頭部へのキンシャサ、そして正面からのキンシャサが炸裂し、10分を超える試合は中邑の完勝で幕を閉じた。 試合後、中邑は「木っ端みじんに砕け散った自分自身をどうかき集めるか、それが憂流迦本人の課題だ。自分で見つけろ。それが優しさです」と、佐々木に厳しい言葉を投げかけた。一方、佐々木にとってこの敗戦は厳しい現実を突きつけられた一方で、今後の飛躍に向けた糧ともなり得る貴重な経験であったと言えよう。 中邑は続けて、「元日、日本武道館で試合をするということは日本男児として誉れ高いことである。米国で孤軍奮闘している自分にとって、この舞台は救いであり、また誇りでもある」と感慨深げに語り、スーパースターとしての存在感を存分に示した。武道館に集まった観衆は、試合後もその圧倒的なオーラに酔いしれた。 ■試合後バックステージコメント 中邑「何にもねえよ。何もございません。よろしいですか?」 ――憂流迦と戦っての印象は? 中邑「まあ、十分恥かいたでしょう。木っ端みじんに砕け散った自分自身をどうやってかき集めて、なりたい自分に形作るか。まあ、憂流迦本人なんで知ったこっちゃないです」 ――会見時は気持ちが見えたと言っていたが? 中邑「いや、皮肉じゃないですか。とらわれすぎ。とらわれすぎですよ。こうじゃなきゃ、ああじゃなきゃ、こうやったほうがいいとか。素の自分で来いって言っただろ? 裸で来いってことですよ。外側だけガチガチに固めて。見透かされてんだって。外側が見たいわけじゃないんだって。特に俺は。まあ、まあ、まあ、かわいい後輩…なんて言うわけもねえし、あとはあいつ次第。そういうことです」 ――2年前の武道館でムタの毒霧を浴びた中邑選手が、その試合を見た憂流迦選手に毒霧を浴びせるドラマがあったが? 中邑「そう。そんなおいしい物語があるにもかかわらず、見てくればっかり。持ってんだろうよ。UFCの経験、死ぬ思いして減量の苦しみから、それこそ地獄の淵から帰ってきて、それでお前は戦い続ける。お前、そういうとこあるんじゃなかったっけ? なんだよ? 今の。中邑、なんやかんや言って優しい後輩にアドバイス送るんじゃねえのって? 甘いわ。甘い。自分で見つけろ。それが優しさです」 ――憂流迦の感情は見えた? 中邑「ないですね。一瞬見えるか見えないかぐらいですかね。まあ、さっきも言ったように、あいつのためになることは一言も発するつもりはございません。粉々の恥ずかしい自分のかけらをかき集めて、作ってみろよっつうんですよ。だからプロレス界入ってきたんでしょうよ」 ――あえて一つだけアドバイスするとすれば? 中邑「だからやんねえっつってんだろ。まあ、憂流迦だけじゃねえ。プロレスラーだけでもねえ。プロレスっていう不思議な世界はいろんなところに自由が詰まってるんですよ。自分のなりたい自分にもなれる。だけど今すぐじゃない。そこに必要なものがたくさんある。まあね、一筋縄ではいかないでしょうけど。時間もかかる。だけど憂流迦35なんで時間が進む。ダメなものはダメ。そういうことでしょうよ」 ――相手は誰でもいいと言っていたが、元日の武道館のリングはどうだった? 中邑「誰でもいい。言いましたけど、誰一人、声上げてないでしょうよ。『憂流迦ばっかリズルくねえ?』ってヤツ一人もいないでしょう。そういうとこだよ。憂流迦も俺と決まって周りに気を使ってる場合じゃねえよ。元日・日本武道館で試合をするということは、中邑真輔、日本男児として誉れ高いことであります。本日は山口の太鼓奏者の方、最高の演出をお手伝いいただき、本当に感謝しております。日本で試合をすること、日本武道館で試合をすること、それも元日に。今アメリカで孤軍奮闘、どうにかこうにかもがき苦しみ、生きながらえてる自分にとっては、このうえない誉れ、救いでございます。以上です」 ノアにとって新年の象徴となるこの大会で、佐々木は一流の壁を痛感する結果となったが、中邑の圧倒的な存在感は、日本プロレス界においてもなお特別な輝きを放っていることを証明した。この日の試合は、佐々木の今後の成長、そしてノアという団体の新たな可能性を予感させるものとなった。 一方の佐々木憂流迦は、UFCを経てノアのリングで奮闘を続ける実力派であり、中邑との一戦はそのキャリアにおける大きな試練と位置付けられた。 <写真提供:プロレスリング・ノア>
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