剣が峰の衆院選、与党過半割れで円安・株安リスク-政局は日銀も縛る
(ブルームバーグ): 27日投開票の衆議院選挙で自民党と公明党の連立与党が過半数割れとなれば、円相場と日本株が一段と下落する可能性がある。10年以上にわたり安定していた日本の政治が一気に流動化し、追加利上げのタイミングを探る日本銀行の手足も縛られかねない。
報道各社による直近の世論調査では、自民党の裏金問題に対する逆風もあり、自公両党が過半数を確保できるか微妙な情勢となっている。
金融市場では自公が過半数割れとなっても、国民民主党などとの連立政権あるいは閣外協力により政権にとどまる可能性が高いとみられている。ただ、政治を巡る不透明感から日本株や円相場の売り圧力が強まることは避けられそうにない。
ピクテ・ジャパンの市川真一シニア・フェローは、「自公で過半数割れとなっても、野党が統一して首相指名に臨むことは考えにくく、政権の枠組みが大きく変わる可能性は低い」としながらも、「確実に政権が不安定化することになるだろう」と指摘する。
「来年参議院選挙があることを踏まえると、このままでは選挙に勝てないというムードが自民党内で台頭し、もう一度総裁選のやり直しという可能性も十分ある」と予想。来年7月に衆参同時選挙もあり得るとみる。
日銀利上げに影響も
衆院選を経て石破政権が弱体化すれば、総裁選で争った高市早苗前経済安全保障担当相をはじめ、日銀の利上げに批判的な勢力が与党内で力を増す可能性がある。また、過半数割れの場合に自公が協力を求める可能性が高いとされる国民民主党と日本維新の会は、拡張的な財政政策とともに緩和的な金融政策を志向しており、日銀の利上げに対するハードルは高くなりそうだ。
一方、日本の政治の影響は一時的との見方も多い。アストリス・アドバイザリー・ジャパンのインベストメント戦略責任者、ニール・ニューマン氏は、政権交代の可能性は小さく、マイナスの影響も長続きしないとみる。
ニューマン氏は「選挙後の政権のスタンスによって日銀の利上げペースは影響を受けるものの、利上げ自体は基本的に既定路線だ」とし、選挙後の30ー31日に予定される日銀金融政策決定会合により注目する投資家も多いと話す。