巨人・原監督を直撃「今は耐えるとき」
巨人が波に乗れそうで乗れない。眼下の敵である阪神に2勝1敗で勝ち越した後、敵地、広島に乗り込んだが、1勝2敗。17日の広島戦では、2点リードのまま、山口―マシソンの勝利方程式に入ったが、その山口がつかまって、まさかの逆転敗戦……。広島3連戦の間に試みた直撃インタビューで、原監督の言葉を読み解きながら優勝へのキーワードを読み解いてみる。 原監督は阪神との首位決戦にチーム良化の“兆し”を感じたという。「阪神との3戦連戦を勝ち越したことで“兆し”というものが見えてきました。特に第3戦に『こういう戦いができれば』という、いい形が見えました」。 原監督が、いい形の具体例として話したのは14日の阪神戦での4回、8回の攻撃の場面だった。1-1で迎えた4回に3番に入っていた坂本が四球で出塁。続く4番の阿部は倒れたが、一死一塁と残ったチャンスで高橋由に対してカウント2-0からエンドランのサインを出した。高橋由は左膝を地面につきながらも喰らいつき一、二塁間を破った。一、三塁とチャンスが広がり、“職人”井端がセンターへ勝ち越しの犠牲フライ。さらに追加点が欲しかった8回には無死一、二塁となると、4番の阿部にためらいもなくバントのサイン。阿部は2度のファウルでバントを決められなかったが、カウントが追い込まれヒッティングのサインに変わると、代走・鈴木をタッチアップで三塁へ送るライトへのフライでつないだ。結果、ここから相手の暴投と村田のタイムリーで2点を追加した。 「阿部にもバントのサインを出しました。失敗はしましたが、そこから打線がつながり始めましたよね。あの試合の3点は、一発ではなく、すべてつながりで奪った得点です。求めているのは、あの形なんです。これまで点だった打線がやっと線になってきたなと」。 点から線へ。ここにこそ原監督が、ここまで何十通りものオーダーを変えながら求め続けてきた理想の形がある。セ・リーグの中でチーム本塁打100本は、広島、ヤクルトに次いで3位だが、チーム打率は、最下位の.259。原監督は、計算の立たない一発攻勢よりも、14日の阪神戦でヒット無しで2点を奪ったシーンに象徴されるような“つながりの得点パターン”を増やすことが勝率の安定に結びつくと考えているのである。