廃部寸前だった本庄第一高校卓球部が“普通の講習会”を開催し、出られなかったはずの団体戦で優勝するまで
自然と涙が溢れ出た
署名活動開始から1年4ヶ月。3月には廃部予定だった本庄第一高校卓球部。 講習会を開催した卓球場は4月から他の部の練習場になります。32年間、卓球部の練習を支えてきた卓球場で最後の大きなイベントとなりました。 出澤さんにお礼を伝えた際に自然と涙が溢れ出ました。 「こんな夢のような事が本当にあるんだな、諦めないで良かったな」。 そう思うと同時に、署名をしてくれた皆様や応援してくれた本当にたくさんの方々に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
本当に本当にありがとうございました
2年前の2022年4月、鈴木さんと私の娘の2人の女子が入部。男子の入部はゼロ。 この2人が入部してなければ、2023年6月に先輩達が引退した時点で部員はゼロになり卓球部は廃部になっていたはずです。 全国の皆様から寄せられたたくさんの署名と応援の温かいお言葉、卓球部卒業生の皆様、署名活動のきっかけをくれた松村さん、そして女子部員2人が本庄第一高校の卓球部を守ってくれました。 本当に本当にありがとうございました。これからも卓球部の応援をよろしくお願い致します。 半澤康
廃部危機を乗り越えた2人の部員
本庄第一高校卓球部員の2人にも話を聞いた。 部長を務める鈴木ここみは語る。 「たくさんの方の署名をいただき部活存続が決まりました。新一年生も入部してくれる予定なので、新しい本庄第一高校卓球部を作りたいです。一度途絶えた団体戦を再開できることはとても嬉しいことです。全員で声を出し、練習してきたことを十分に発揮できるチームにしていきたいです」。 先輩が引退後は部員は2人。ようやく戦える団体戦への思いが溢れ出た。 半澤里咲も「自分達の代でも、後輩達が入ってきて団体戦に出場できる事になりました。まずは県大会出場を目指して、この高校生活に悔いが残らないように頑張りたいです」と同じく団体戦への思いを一番に口にした。
ようやく出場できた団体戦で優勝
この奇跡には続きがあった。 2024年4月20~22日の関東大会北部支部予選会。 3年生2人と新たに入部してきた1年生2人で組んだ団体戦で、本庄第一高は優勝を飾ったのだ。 部長の鈴木は、講習会後にこう語っていた。 「私たちが大会に出れるのは当たり前のことではなく、たくさんの方々の協力があって成り立つことです。私をここまで成長させてくださった中学、高校の顧問の先生、先輩方、チームメイト、支えてくれた家族などたくさんの方々に感謝の気持ちを言葉だけでなく 結果でも伝えられるように頑張ります」。 なくなるはずだった卓球部が、周囲の尽力で存続し、出られなかったはずの団体戦で、優勝を果たした。 「引退するときに『卓球人生が楽しかった、卓球を続けてよかった、人として成長することができた』と思えるように努力し続けたいです」。 廃部危機を乗り越えた3年生2人が、“優勝”という大きな経験を後輩たちにバトンとして託した。先輩から後輩へ着々と受け継がれ、これからも引き継がれていくであろう本庄第一高卓球部の伝統がそこにはあった。
山下大志(ラリーズ編集部)