ジョージが移籍したクリッパーズ…オーナーは契約の新ルールを重視「お金以上の価値がある」
7月1日(現地時間6月30日に報道された)、元ロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージとフィラデルフィア・セブンティシクサーズの契約。契約金は4年総額2億1150万ドル(約333億2400万円)と、2020年にクリッパーズと交わした契約延長時の4年1億9000万ドルを超える金額を手にすることになる。 【動画】昨季の前半戦でクリッパーズが見せたトッププレー! ジョージの移籍に加え、シクサーズは主力ガードのタイリース・マキシーと5年2億500万ドル(約322億8600万円)でのマックス契約を締結し、大黒柱のジョエル・エンビードも合わせたビッグスリーを形成。昨シーズンにローテーション入りしたケリー・ウーブレイJr.の残留に成功、他球団からはエリック・ゴードンやアンドレ・ドラモンドも獲得するなど、優勝に向けて戦力を着実に整えている。 その一方、ジョージの元所属先であるクリッパーズはベンチからチームを支えたラッセル・ウェストブルックも失い、カワイ・レナードとジェームズ・ハーデンの二枚看板で新たなシーズンを迎えることに。球団オーナーのスティーブ・バルマー氏はジョージの退団について「残念だ」としつつも、新体制でもタイトルを争うことができると考えているようだ。現地メディア『ESPN』がコメントを伝えている。 「バスケットボールの観点からすると、ポールは素晴らしい選手であり、将来の殿堂入りは間違いないだろう。だが、我々は向上を続ける必要があると分かっていた。ポールには優勝を勝ち取るための素晴らしいオファーを提示したが、彼が望んでいるものではなかったようだ」 ジョージは自身のポッドキャスト『Podcast P with Paul George』において、クリッパーズとの交渉で金額の折り合いがつかなかったことを明かしており、金額の代わりに求めたトレード拒否権にも合意を得られなかったと回想。地元でキャリアを終えることを望んでいたものの、自身をさらに高く評価したシクサーズへ向かうことを決断したという。 世界富豪番付で6位に位置するバルマー氏をオーナーに持つクリッパーズは金銭的な余裕を持つクラブ。それでもジョージの契約で交渉が決裂してしまったのは、新たな労使協定で導入されたファースト・エプロン、およびセカンド・エプロンというルールが背景にある。 従来、リーグの定める選手への総給与支給額には制限が設けられ、超過した場合には贅沢税と呼ばれる反則金が課されていた。しかし、クリッパーズを含む一部の裕福なクラブにとっては効果が薄かったことから、トレードやドラフト指名で大きな制限がかけられるエプロンが導入されるに至った。 バルマー氏は「勝つためにどのようなロスターを作り続けるのか、非常に思慮深くなると思う」と新たな規則について語っており、これまでの贅沢税よりもチーム構成に大きな影響を及ぼしうると考えているようだ。「お金を払う気はある。だが、今はお金以上の価値がそこにはあると思う」。 主力を失ったクリッパーズだが、昨シーズンにマブスのファイナル進出に貢献したデリック・ジョーンズJr.など、今オフはサポートキャストの獲得に力を注いだ。スターパワーが減少した分、チームとしての完成度をさらに高めて新たなシーズンに臨みたいところだ。
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