キーガン・パルマーが2連覇を達成し、新たな歴史を刻む立役者となった「パリ2024オリンピック」スケートボード・男子パーク種目
【ラン3本目】 最終ランとなった3本目も2本目同様に大半の選手がミスするなど最後まで順位が分からない展開にもつれ込み、まさにオリンピックらしいドラマチックな世界最高峰の戦いが繰り広げられた。そんな中で90点台をマークしてきたのはブラジルのアウグスト・アキオとペドロ・バロスだ。 3本目のランでまずベストスコアを残したのはアキオ。1本目、2本目とフルメイクできずにいたが最終ランでしっかり決めてスコアアップをしてきた。まずはエクステンションでの「ヒールフリップボディバリアル」をメイクすると、「ギャップ to バックサイドリップスライド」や「アーリーウープボディバリアル」、さらには「キックフリップボディバリアル360」と「スイッチ180クルックドグラインド」を決めて91.85ptをマーク。カリューのスコアを上回り3位に浮上した。 そんなアキオを追って強さを見せたのは東京オリンピック銀メダリストのバロス。パワーライディングが特徴的な彼は飛距離のあるエアーとハイスピードな滑りで3本目をフルメイク。飛距離のある豪快な「キックフリップインディグラブ」でランを始めると、「キックフリップフロントサイドエアー」や「フロントサイドノーズスライド」、さらに複数のスイッチスタンスのトリックを交え、最後は「540ステールフィッシュグラブ」をメイク。アキオのスコアを超えるかと思われる見事なランを見せたがスコアは91.65ptとわずか得点を伸ばせず4位に留まった。 一方で今回悔しい結果となったのはルイージ・チーニとキーファ・ウィルソン。両選手とも1本目と2本目では転倒があり後が無い3本目。チーニは「キックフリップボディバリアル270」や「キックフリップインディグラブ to ストール」「キックフリップボディバリアル540」などをキックフリップをベースに派生したトリックをメイクしていくも、最後の「キックフリップインディグラブ to エッグプラント」で失敗。スコアを76.89ptと全体7位で大会を終えた。ウィルソンも「キックフリップインディグラブ」や「アーリーウープボディージャー」「キックフリップボディバリアル540」などをメイクしていくも「バックサイド540」で失敗しフルメイクできず58.36ptをベストスコアにして全体8位という結果になった。 その後暫定5位に後退したカリューと暫定6位となったソルジェンテはメダル獲得するべく攻めのライディングを見せるも、フルメイクには至らずスコアを伸ばすことができなかった。この瞬間でアキオの銅メダルが確定。あとは暫定1位のパルマーのスコアをシャーが超えられるかに注目が集まった。 シャーは2本目でのランをさらにアップデートする形で様々なトリックの完成度を上げたライディングを見せ、その中でもボックスジャンプを反対側から飛ぶバックワーズの「キックフリップインディグラブ」なども決めてトリックをアップデートしたが、最後のエクステンションでトライした「アーリーウープ・テールグラブ540」で転倒しフルメイクできずスコアを伸ばせなかったが92.23ptをベストスコアとし銀メダル獲得を決めた。 パルマーのウィニングランを残したこの時点でパルマーの金メダル、シャーの銀メダルが決まり、表彰台はパルマー、シャー、アキオの順となった。パルマーは東京オリンピックの時と同じ状況の中で今回のオリンピックチャンピオンとして2連覇が決定し、ウィニングランはそんな思いも溢れてかフルメイクはできなかったが、終わった瞬間に中央のボックスジャンプに駆け上がり喜びと感謝を観客に向けて示すとカリューとバロスが駆け寄りパルマーを肩車した。お互いの健闘を称え合う姿はまさにスケートボード競技がオリンピックに採用された本当の意味のようなものを垣間見れた瞬間だった。
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