税制が複雑過ぎて“働き損”!? 複雑怪奇な年収の壁「いっそ一つにしたほうがいいのでは」 田内学
せっかくの機会だから、他の壁も含めて、まとめて議論したほうがいいのではないだろうか。 そして、できることなら、もっとわかりやすくしてほしいのだ。おそらく、このコラムを読んでいるみなさんも、あまりの壁の多さに、いろんな記事を読んで勉強しているのではないだろうか。日本で働く7千万人がこの複雑怪奇な税制を理解する労力を減らしてほしい。いっそのこと、壁を一つにしたほうがいいのではないだろうか。 所得に関する税制度でさえこんなに複雑なのだ。全体の税制度は、どれだけ複雑なことか。財務省の中で働く人から聞いたことがある。財務省の中に、すべての税制を完全に把握している人は存在しないと。そして、自分の職域を守るために、複雑な税制をシンプルにするインセンティブ(動機づけ)が働かない人たちも存在するそうだ。 仕事を守る、という悠長なことを言っている時代ではない。今の日本では、いたる所で人手不足が起きている。その問題を解決するためにも、働きたい人が「働き損」にならないための環境づくりが喫緊の課題なのは間違いない。 ※AERA 2024年12月23日号
田内学