ウクライナの越境作戦が裏目に 東部でロ軍の攻勢加速、自軍は兵力不足に拍車
ロシア軍は2~3週間でポクロウシク郊外に到達する可能性
ポクロウシク正面を防御しているウクライナ軍の旅団は6個かそこらで、兵力はロシア軍の半分ほどの規模だ。支援がなければ、ウクライナ側はポクロウシクを明け渡すことを余儀なくされるかもしれない。それも近いうちにだ。CITは「ウクライナ軍のコマンド(統合司令部)が状況を安定化させる措置を講じなければ、ロシア軍はわたしたちが以前に予想していたような数カ月後ではなく、2~3週間以内にポクロウシク郊外に到達する可能性がある」と警告している。 フロンテリジェンス・インサイトは「ウクライナの指導部には戦線を安定化させる方策として、新たに編成された旅団を投入する、クルスク州や(北東部の)ハルキウ州方面から兵力を移す、より安定した正面から大隊を引き抜くなど、いくつかの選択肢がある」と指摘しつつ、実際にこうした措置が講じられるかは見通せないとしている。 ウクライナにとって楽観的なシナリオは、ウクライナ軍参謀本部がポクロウシク正面の防御を増強するための部隊を見つけ、それらの部隊がロシア軍に損害をかさませて前進を続けられないようにする、というものになる。 これは不可能なことではない。ロシア軍は東部で1日に人員を数百人、車両を数十両失っている。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は28日の作戦状況評価で「ポクロウシク正面での敵の損害は5週続けて過去最多の水準で推移している」と報告している。 とはいえ、こうした甚大な損害がいつロシア軍の限界を超えるのか、はっきりしたところは誰にもわからない。エストニア国防省は昨年末、ウクライナは2024年にロシア軍に10万人の死者・重傷者を出させれば、戦争の潮目を変えられるとの楽観的な見通しを示していた。 だが現実はと言えば、ウクライナ側がおそらく今年前半だけでロシア軍に10万人の死者・重傷者を出させたとみられるにもかかわらず、ロシア軍の進撃は止まらず、ポクロウシクに向けた前進が続いている。
David Axe