NATO事務総長、西側諸国に結束呼びかけ 露中イラン北朝鮮を懸念
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は12日、ロシアと中国、イラン、北朝鮮の協力体制が欧州だけではなく、インド太平洋地域、北米の脅威となるとの懸念を示し、西側諸国に結束を呼び掛けた。訪問先のパリで、フランスのマクロン大統領との共同記者会見で述べた。 ルッテ氏は「北朝鮮がロシアに弾薬、ミサイル、兵士を供給し、ロシアは引き換えに北朝鮮に資金やミサイル技術を供与している」と現状を分析。「北朝鮮のミサイルが米本土、欧州、そして韓国や日本などを含むインド太平洋の直接的な脅威となる」と述べた。 さらに中国がロシアの経済、軍需産業を支え、イランが中東を不安定化させているとの見方を示した。 ルッテ氏はまた、緊急の課題としてウクライナ支援の強化を訴えた。露軍はウクライナ東部の戦線で進軍を加速させており、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州では、北朝鮮兵と露軍部隊の計約5万人が、近く大規模攻勢に出る可能性が指摘されている。 ルッテ氏は「ウクライナ軍の戦闘継続を支えるだけではなく、戦況を変えるために必要な支援を実施し、ロシアにより大きな戦争の代償を支払わせなければならない」と強調した。 一方、マクロン氏は「強いウクライナ、強い欧州、強い同盟の三つが、今後数カ月、数年にわたる共通の課題だ」との見方を示し、「NATOの安全保障の柱となる欧州を構築しなければならず、それが米政権の期待でもある」と語った。 マクロン氏はトランプ次期米大統領が欧州にNATOへの追加負担を求めていることを念頭に、「欧州はあまりにも長期間、自らの安全保障を担うことを避け、平和の配当が受けられると信じてきた」と述べ、軍事支出増額の必要性を強調した。【ブリュッセル宮川裕章】