ピーマンと肉が剥がれないコツはピーマン選びから!? きじま流「ピーマンの肉詰め」なら失敗知らず!
テレビや雑誌を中心に活躍する料理家のきじまりゅうたさんが、料理の基礎やコツをご紹介! 調理がラクになるちょっとしたコツや、料理が飛躍的に上手くなるノウハウ、誰も教えてくれないマル秘テク、目からウロコの簡単レシピなど「料理はおもしろい」ことを伝えたいと語るきじまさんのyoutubeチャンネル「きじまごはん」から、編集部厳選の記事をお届けします。 【画像で確認】いままで真逆のことをやっていたかも!? きじま流「焼き方のコツ」とは? 今回は「ピーマンの肉詰め」の作り方をお伝えします。 ピーマンのおいしさと肉のジューシーさを一気に味わえる「ピーマンの肉詰め」ですが、“ピーマンと肉が剥がれる”というお悩みも耳にします。そんなお悩みを解決できるコツをきじまさんがご紹介! ひき肉の練り方や詰め方もぜひ参考にしてくださいね。 ■肉を詰めて蒸し焼きにするだけの簡単レシピ! 今回はピーマンにひき肉を詰めて蒸し焼きにするだけの1番作りやすいレシピを紹介します。冷めてもおいしいので、お弁当のおかずにもバッチリです。ひき肉が余ったら、ミニハンバーグを作ってピーマンの隣で焼けばOKです。気軽に作れますよ! 材料 ピーマン:1パック(小4~5個) 合いびき肉:200g 卵:1個 小麦粉:大さじ1 塩:適量 サラダ油:大さじ1/2 塩:小さじ1/4 こしょう:少々 パン粉:大さじ4 牛乳または水:大さじ2 ソースの材料 ケチャップ:大さじ3 水:大さじ2 ウスターソース:大さじ1 ■作り方 きじま流「ピーマンの肉詰め」で大事なのは、ピーマンの選び方です。 1袋で4~5個くらい入っているものを選んでください。ちょっと小さめのサイズのピーマンを選ぶと作りやすいですよ。 ピーマンを袋の上から軽く押してみて、少し凹むような、果肉が薄くて柔らかいピーマンがいいですね。 ※商品は強く押さないでください ピーマン4~5個に対して、ひき肉200gが目安です。たくさん作りたい場合は、この倍の分量で作ってください。 ピーマンを切ります。 ピーマンを縦半分に切り、ヘタの部分を取り除きます。ヘタは手前に折るようにすると簡単に取れます。ヘタの周りの盛り上がっている部分が残っている方が肉がうまく詰められるので、切り落とさないでくださいね。 種を取ります。種は食べられるので取らない方もいますが、種があると肉を詰めづらいので今回は取ります。白いわたの部分も取り除きます。 ピーマンの肉詰めの失敗談でよく聞くのが「肉が剥がれた」という話です。ピーマンを下茹ですると剥がれづらくなりますが、少し面倒ですよね。今回は下茹でしなくても肉が剥がれづらくなる方法を紹介します。 ひき肉を練ります。 合いびき肉200gを用意します。豚肉でも鶏肉でもどちら作ってもいいですよ! 塩小さじ1/4、こしょう少々を入れます。 まずは肉と調味料だけで練ります。練るときは手でかき混ぜるようにするのではなく、拳(こぶし)で叩いて一体化させます。おもちつきの要領で肉をつきます。 塩こしょうだけで肉をつくことで、肉から粘りが出ます。粘りが出ると、あとから加えるつなぎとつながりやすくなります。ひき肉が持ち上げられるくらいの状態にしてください。 肉は焼くと縮むため、ピーマンから剥がれやすくなります。肉が縮まないよう、つなぎを入れてふっくらさせるのがポイントです。 粘りが出るまで練った肉をボウルの片側に寄せます。空いたスペースに、卵1個、パン粉大さじ4、牛乳または水大さじ2を入れ、混ぜます。 混ぜた卵・パン粉・牛乳と、肉を合わせて混ぜます。指先を泡立て器のように立てて混ぜるとやりやすいですよ。 ハンバーグを作るときとほとんど同じ材料ですが、卵と水分が多いのでかなりゆるいです。 ピーマンに肉を詰めます。 ピーマンと肉をしっかりくっつける接着剤として小麦粉を使います。小麦粉はピーマンの内側にだけ振ればOKですが、面倒なので僕は全体に振ります。 まずは袋の中にピーマンをすべて入れ、小麦粉大さじ1を加えます。袋の口を閉じ、しゃかしゃか振ります。 ピーマンの内側に付いた小麦粉が肉とピーマンの接着剤になり、焼いても剥がれづらくなります。 小麦粉を付けたピーマンに肉を詰めます。今回はピーマンを4個を半分にカットしているので、スプーンで肉だねを8等分にします。 ピーマンに肉だねの1/8量を載せます。 中央から外に向かって、スプーンの腹を使って肉だねを伸ばし、詰めます。ピーマンの隅々までまんべんなく肉だねを詰めます。 肉の量が多いと剥がれる原因になります。肉だねが山盛りになっている場合は、肉を取り除きます。 余分な肉は取り除きます。こんもりしているくらいがちょうどいいです。 すべてのピーマンに肉だねを詰め終わると、肉だねが余る場合があります。今回も少し余りました。余った肉だねをすべてピーマンに詰めようとすると焼いたときに剥がれる原因になります。余った肉だねは無理に詰めずに、ミニハンバーグにして、フライパンで一緒に焼けばOKです。 焼き方が今回の“ちょいコツポイント”です。 「肉詰めピーマンは、コールドスタートで焼き、肉の表面だけ焼き付ける」 裏返すときにどうしても剥がれやすくなるため、コールドスタートでじわじわ温度を上げていきます。まず肉の面だけ焼き、ピーマン側は焼きません。 フライパンにサラダ油大さじ1/2をひき、全体に伸ばします。 肉の面を下にしてピーマンの肉詰めを並べます。軽くギュッと押さえつけるとピーマンの奥まで肉が入ります。 フライパンの空いたところに余った肉だねを置きます。すべて並べたらフライパンを中火にかけます。 中火にかけじゅわじゅわ焼ける音がしてきたら、フライパンにフタをして弱めの中火で6~7分焼きます。 3分くらい経ったので、余った肉だねで作ったハンバーグだけ裏返し、またフタをします。 焼きはじめて7分経過したらフタを取ります。 一度火を止め、焼け具合を確認します。 裏返してピーマンの面も焼くと、ピーマンが破れて肉が剥がれる原因になるので、ピーマンの面は焼きません。このままお皿に盛りつけます。ミニハンバーグも一緒に盛りつけます。 肉に火が通っているか心配な場合は竹串を刺し、できた穴の周りを指で軽く押さえます。 透明な肉汁が出てくれば中まで火が通っている証拠です。肉汁が濁っていればもう少し焼きます。 ソースを作ります。 焼き終わったフライパンの油をキッチンペーパーで軽く拭き取ります。こげは残っていてOKです。 軽く油を拭いたら、調味料を加え、火にかけます。 ケチャップ大さじ3、水(または料理酒)大さじ2、ウスターソース大さじ1 フライパンに残ったこげをゴムベラでこそげるようにしながら煮ます。 煮詰まったら、ピーマンの肉詰めにかけます。 「ピーマンの肉詰め」の完成です! ■試食 卵をたっぷり入れたので肉がふわふわですね! 肉の面だけしっかり焼いたので、表面の少しザクっとした食感もいいですね。 ちょっとだけ感じるピーマンの青臭さが肉の濃厚さと合います! ピーマンの青臭さが苦手な方は下茹でするといいと思います。半分にカットしたピーマンを熱湯で2分くらい加熱し、冷ましてから今回のように小麦粉を振って肉を詰めて焼けばOKです。そうするとピーマンが柔らかく甘い感じに仕上がります。 ピーマンの肉詰めをフライパンに並べて、一度も触らず裏返さず蒸し焼きにすることで、肉が剥がれづらく、キレイにおいしく仕上がります。この方法はラクなのでオススメですよ。ぜひ作ってみてくださいね! 今回、教えてもらった「ピーマンの肉詰め」について、気になるポイントをきじまさんに伺いました。 __ピーマンを下茹でする方法もあるとおっしゃっていましたが、なぜ下茹ですると剥がれづらいのでしょうか? きじまさん:肉は焼くと縮み、ピーマンは加熱で柔らかくなって広がる。ここで隙間ができてしまうのが剥がれる原因です。ピーマンを下茹でして柔らかくしておき、ピーマンが肉に接着して隙間を作らない、というメカニズムです。 __肉だねの水分量が多くて驚きました。なぜ卵や牛乳をたっぷり入れるのでしょうか? ピーマンに詰めるときは、きじまさんのようにスプーンを使ったほうが扱いやすいのでしょうか? きじまさん:水分と言うより卵が多いのだと思います。卵を入れることで肉が縮むのを防ぎます。ティースプーンを使うと扱いやすいと思いますよ。 __野菜の肉詰めが大好きなのですが、肉だねは、ピーマン以外の野菜(れんこんやしいたけなど)に使ってもいいでしょうか? その場合も片面だけ焼くほうが剥がれづらいですか? きじまさん:ピーマンのような舟型の形だと、今回紹介した肉だねは使いやすいと思います。れんこんやしいたけなら卵を入れず、もう少し固めにしたほうが作りやすいかと思います。 きじまりゅうた 料理研究家。 祖母と母が料理研究家という家庭に育つ。 オリジナリティあふれるレシピと、わかりやすいトークを武器に、男性のリアルな視点から考えた「若い世代にもムリのない料理」の作り方を提案。現在は「NHKきじまりゅうたの小腹すいてませんか」「NHKきょうの料理」「NHKあさイチ」「CBCキユーピー3分クッキング」などのテレビ番組へのレギュラー出演をはじめ、WEB・雑誌 上でのレシピ紹介や、料理教室やイベント出演などを中心に活動している。著書『極狭キッチンで絶品!自炊ごはん』(新星出版社)。youtubeチャンネル『きじまごはん』を配信中。 取材・文=ジョッキー